我が家の庭の訪問者(その3-7)

 我が家の庭に棲みついたチョウ
その他のチョウ 
 
 内   容 (リンク)
(その3-7)     我が家の庭に棲み着いたチョウ その他のチョウの生態
(3-7-1)その他のチョウの生態
  (A)モンシロチョウ、(B)ルリシジミ
(3-7-2)その他のチョウの生態
  (C)モンキチョウ、(D)ツマグロヒョウモン
(3-7-3)その他のチョウの生態 
  (E)ヤマトシジミ

(3-7-4)その他のチョウの生態 
  (F)キタキチョウ、(G)ツバメシジミ、(H)ウラナミシジミ
(3-7-5)その他のチョウの生態
  (I)アサマイチモンジ
(3-7-6)その他のチョウの生態
  (J)スジグロチョウ

(3-7-7)その他のチョウの生態
  (K)コミスジ 
(3-7-8)その他のチョウの生態
  (L)ルリタテハ

(エクストラ)この幼虫は何?
 
(F)キタキチョウ 

フジバカマに吸蜜するキタキチョウ(雄)

食草ハギに吸蜜するキタキチョウ(雌)
キタキチョウの食草とされるミヤギノハギは大きく育ち、晩春から秋までほとんど切れ目なく花を咲かせ続けている。ミヤギノハギは、キチョウ、トラフシジミ、ウラナミシジミ、ルリシジミ、ツバメシジミ ウラギンシジミ、コミスジなど、意外の多くのチョウの食草とされているものの、実際にはなかなか産卵してくれないようで、それぞれ他にもっと好ましい食草があるものと思っていた。従って、キタキチョウについても同じ理由から、その産卵はあきらめていた。
2016年8月9日の猛暑日、外気温は正午を過ぎて36℃を超えるほど上がっている。この暑い日中、さすが日陰を選んで、2頭のキタキチョウがミヤギノハギの周りを飛び回っているのに気づいた。チョウの姿がほとんど見られない時節なので、キタキチョウの飛翔をとても新鮮に感じた。その姿をカメラに収めようと暫く観察していると、それぞれ産卵行動を見せ始めた。接近すると直ぐに飛び立つので接近はできず、なかなか写真が撮れない。しかし、その卵は次々と見出された。この卵は、ネットで隔離保護して観察することにしよう。 

ようやく撮れたキタキチョウの姿

産卵中のキタキチョウ

ミヤギノハギの若芽を選んで産卵するようだ
 
産みたての卵 ・・・ ホヤホヤ
  2016年8月12日、産卵3日後
学生時代で、チョウを追いかけて日本中を駆け巡っていた頃から長い年月を経て、40〜50年ぶりに三脚を構えて撮影することにした。極小で縦長の卵を撮影するとき、どうしても風と手振れの影響を受けることになる。そこで、何とか良い写真が撮りたくて、三脚の登場となった。古い三脚なので、大きくてとても重い。 しかし、その効果は抜群。もう直ぐ孵化するのだろう。卵のなかに幼虫の姿が見える。


2016年8月13日、幼虫が顔を出してきた
 
2016年8月13日、意外に時間をかけて出てくるようだ

孵化して出てきた幼虫は真っ白。小さい・・・見えない!
 
孵化するとUターンして卵の殻を食べ始める

緑色の葉(食草)を食べて、体が緑色になるようだ
 
食欲は旺盛
 2016年8月14日、キタキチョウ1令幼虫
孵化した翌日。その小さな姿を完全に見失った。絶対いるはずなのに見あたらない。懸命に探していると、若葉にふと食痕らしい小さな穴が認められ、その側に糸くずのような幼虫を確認した。この大きさと姿では、見つけることは不可能に近い。もちろん観察を続けることにする
 
8月15日、2令に脱皮したかな? ウンチまみれの幼虫
 
8月16日、2令幼虫と思われる。
キチョウの若令幼虫の経過は全く判断できない。経験不足もあるのだろうが、各ステージの幼虫に特色が無く、脱皮殻が無ければ何時脱皮したのか判別できないのが現実 ・・・ どうしようもない。でも、こんなに歳をとって(私自身)、目を細めながら僅かに見える糸くずのような細く小さな幼虫を観察するのは難しく、そして楽しい。これらの写真、実は私のカメラ(CanonEOS7D)とレンズ(Canon 100mm マクロ)の解像度の限界を超えており、満足できるシャープな画像が得られない。接写リングを使ったほうが良いのかな? まずは、早く大きく育って欲しい。
 
2016年8月30日、3令幼虫
 

2016年8月28日、終令幼虫発見
上記の幼虫は、その後不明となった。一旦目から離れると、本当に分からなくなるものだ。今日見つけたのは、大きく育った5令(終令)幼虫。こんなに大きな幼虫に、どうして今まで気がつかなかったのだろう?今まで見つけられなかった幼虫が目につくようになったのは、幼虫の食痕が解るようになったからと思われる。寄生されているかも知れないが、この幼虫は確保・保護することにする。 
 
 
2016年8月30日、前蛹   2016年8月31日、蛹化

2016年9月6日羽化が近い  9月7日羽化を始めたが失敗
 2016年8月31日
終令幼虫を見つけた(写真上)とき、そう遠くないうちに蛹化すると思っていたが、翌日前蛹となり、31日には蛹化した。予想以上に早い進展となり、驚くと共にまずは一安心したが、さて、寄生なく無事に羽化するかどうかが楽しみなところ。 
  2016年9月6日羽化が近づいた
 キチョウの蛹は透けて見え、蛹の中でチョウが形作られていく様子が見えることで知られている。写真では前翅が黄色に色づいて形成されていく姿を見ることができる。
 2017年9月15日、
今年も、産卵するためミヤギノハギを訪れるキタキチョウ(雌)をよく見かける。産卵した卵をネットをかけて保護し(写真左下)、観察を続けた。ネットの中でも、小さな幼虫はなかなか見いだせない。保護したことをしばらく忘れていて、気が付いた時には既に終令幼虫にまで育っていた(写真右下)。

2017年9月19日、蛹の確認

2017年9月28日、羽化も近い
 
2017年9月30日、突然の羽化
 
2017年9月30日、とても美しいキタキチョウの雄
 2017年9月22日、終令幼虫発見
鉢植えを整理していると、この夏に川原から抜いてきたキタキチョウの食草、ヤハズソウとメドハギの一部が丸裸になっているのに気付いた。よく見ると、キタキチョウの終令幼虫がそれぞれ1頭づつ。自然の食草(雑草)の効果にはただ驚くばかり。こんな小さな株(木)にでも産卵され、幼虫は育つ。これらの雑草(雑木)を持ち帰った価値は十分にあったようだ。殖え過ぎるのは困るが、大切に維持することにしよう。
ヤハズソウの終令幼虫(写真右の左赤円)
メドハギの終令幼虫(写真右の右赤円)

ヤハズソウの終令幼虫

メドハギの終令幼虫
 
2017年9月23日蛹化 ヤハズソウ

2017年10月2日、羽化直前の蛹 ヤハズソウ
 
2017年10月2日、羽化直後のキタキチョウ雌 ヤハズソウ

2017年10月2日、羽化直後のキタキチョウ雌 ヤハズソウ
 
2017年9月23日蛹化直後 メドハギ
 
2017年10月4日、羽化直前の蛹 メドハギ
 
2017年10月4日、羽化直後のキタキチョウ雄 メドハギ
 
2017年10月26日、冬ごもりの準備かな?
 (G) ツバメシジミ
2016年8月25日
ミヤギノハギの周りを、少し小さめのシジミチョウが飛び回っていた。羽の色から雌と判断されたが、それから予想されるヤマトシジミがハギの周りを飛び回るのはおかしいと思い、しばらくその後をつきまとうことにした。果たして、花に留まって吸蜜する姿からツバメシジミであることが判明し、その後、花穂の先端に産卵する姿を観察した。やはり、ツバメシジミはミヤギノハギを食草(食樹)として認識し、産卵することを確認した(写真下)。ところが撮影後、カメラのファインダーから目を離した瞬間に、ツバメシジミが産卵した花穂を見逃してしまった。それと思われる花穂から卵を見つけようとしたが、どうしても探し出すことはできなかった。それほど、卵は小さいのだ。さてこれからは、幼虫を探さなくては ・・・ これも難しそうだけど。
   
 
産卵場所を探しているツバメシジミ
 
産卵中のツバメシジミ

まだ硬い蕾の隙間に生みつけられた小さな卵

さらにアップ。ヤマトシジミの卵よりも小さいかな?
2016年9月17日、ツバメシジミのサナギを発見
何か幼虫がいないかと、いつものミヤギノハギを精査していると、葉の陰に潜むツバメシジミの蛹を見出した。上記の写真、ツバメシジミがこのハギに産卵していることを確認したが、撮影後、レンズから目を離した瞬間にその枝を見失ってしまっ。一旦見失うと、卵の確認は絶望的。そこで卵と幼虫の発見は先延ばしになっていたところ、いきなり蛹の発見となった。これで、我が家の庭でのツバメシジミの発生は確定となった。サイズはヤマトシジミと同じくらいで、約9mm。 
2016年9月20日、ツバメシジミの羽化
シジミチョウの蛹の成長は早い。蛹が少し色着いてきたら、アッと言う間に羽化してしまう。気をつけていたつもりなのだが・・・。ルリシジミもヤマトシジミも羽化の瞬間を見ることができなかった。気がついたら、狭い容器の中を飛び回っている。蛹をもう一つ見つけているので、細心の注意を払って観察を続けることにしよう。写真はとても美しいツバメシジミの雄。天気が悪い日が続いているので、庭に放すのも心配。 
2016年9月20日、ツバメシジミの蛹から寄生バエの蛹
ツバメシジミの羽化が楽しみで毎日観察していたところ、その蛹殻を破ってウジが現れ、近くに写真(左)のような蛹を作り上げた。こんな小さな幼虫・蛹にも寄生の脅威に晒されているのだと思うと、自然の厳しさをつくづくと感じる。ましてや、ワラジ型のシジミの幼虫には必ずと言っていいほどたくさんのアリが警護に当たっており、そう簡単には寄生蜂や寄生バエは近寄れないように見える。それでも寄生されるのかと思うと・・・本当に厳しい世界だ。(8枚の写真を深度合成したもの:手前から後方の寄生バエの蛹まで、広く焦点が合っている)

   
(H)ウラナミシジミ 
ウラナミシジミは、我が家の庭では滅多に見ることはできない。近くの川沿いの土手を覆うように茂るクズの周りでは頻繁にその姿が見ることができるようだが、およそ2Km離れた我が家の庭にはほとんどその訪問がない。従って、ウラナミシジミの庭での発生は全く期待していながったのだが、2016年9月29日、ミヤギノハギの一枝をネットで保護していた幼虫がそろそろ蛹化していると思われることから、その中を精査した。すると、ルリシジミでもツバメシジミでもない蛹が見出された。ネットでその正体を探ってみると、その大きさや褐色斑の状態、また蛹にはほとんど細毛が認められないなどの特徴から、どうやらウラナミシジミのようで、とても嬉しい新発見となった。気がついていなくても来ているんだなァ・・・と、感慨もひとしお。 

2013年5月、ルピナスを訪れたウラナミシジミ雌

2016年7月7日、産卵に訪れた(?)ウラナミシジミ雌
2016年9月29日、ウラナミシジミと思われる蛹  
蛹はルリシジミやツバメシジミよりひとまわり大きく(およそ10mm)、褐色の斑の入り方や蛹の周りに細毛がほとんど見られないなどの特徴からウラナミシジミのそれと判断される。これで、ウラナミシジミがハギを食草(植樹)として産卵することが確認されたことになる。早くその羽化を確認したい。  
   
2016年10月6日、ウラナミシジミの羽化  
ウラナミシジミの蛹と思われる蛹は、越冬する蛹かも・・・と疑いつつも、その羽化を心待ちに毎日確認していたところ、蛹はしだいに濃色となり、10月6日には青く輝く翅が透かして見えるようになって羽化直前の姿を見せるほどになった。程なく羽化した生体は、果たして予想通りのウラナミシジミであった。

2016年10月6日、羽化直前の蛹
翅の青い輝きが蛹の外からうかがえる

2016年10月6日、とうとう待ちにに待ったウラナミシジミ
の誕生。 美しいその姿に感動
 羽化して誕生したのは翅が青く輝くウラナミシジミの雄。とても美しい・・・ゆっくりと観察させて頂き、外に放った。これで、庭
のミヤギノハギで、間違いなくウラナミシジミが誕生していることが確認された。 
 2016年10月20日、ウラナミシジミの飛来
秋はウラナミシジミがとても多いはずなのだが、我が家の庭で見ることは全くなかった。今年初めて、庭のミヤギノハギで発生していることが分かると、頭のどこかでウラナミシジミを忘れないように、いつも気をつけて探している気がする。今日は、我家の畑のツルエンドウにウラナミシジミが来ているのに気がついた。食草のハギも、川の土手のクズも既に花が落ちて、おそらく蜜源に困っていたのかもしれない。なぜなら、ウラナミシジミは蜜源を選ぶようで、とにかくマメ科の花を好むようだ。ここでは、残り少なくなったツルエンドウの白い花を求めての飛来と思われる。フジバカマにはチョクチョク来るかな?ツルエンドウの葉に休むウラナミシジミ 雄 (写真左)
2017年6月16日、産卵に訪れたウラナミシジミの雌を発見
昨年に続き、ウラナミシジミ雌がミヤギノハギに産卵しにやってきた姿を見つけた。その後をしばらく追いかけたが、警戒してか 、その産卵行動を確認することはできなかったが、ミヤギノハギの花穂から花穂へ飛び交う姿(写真右)を楽しませてくれた。暫く追跡して、産卵する姿を写真に収めることを諦めたものの、次のチャンスにはもっと慎重に接近することにしよう。
2017年6月17日、ウラナミシジミの産卵を確認
お出かけ前の早朝に、グルッと庭を一回り。そこで、ミヤギンハギに産卵するウラナミシジミに出くわした。直ぐにカメラを取りに戻ったものの、ウラナミシジミの産卵する姿を写真に収めることはできなかったが、産卵を目撃したのでその卵を確認することができた。ルリシジミより少し小さな卵のようで、薄緑色でとても美しい。我が家の庭では、始めて見る卵となる。
 2017年8月8日、ピカピカのウラナミシジミ
食草ミヤギノハギに近いところで、生まれたてと思われるピカピカのウラナミシジミを見つけた。側のミヤギノハギに産みつけられた卵から誕生したに違いない。まるで家族のような・・・愛着を感じる。嬉しいですね。



 2017年10月26日、ウラナミシジミの秋も深まる
今年はウラナミシジミがミヤギノハギへ盛んに産卵することが確認されたこともあり、成虫の我が家での発生も盛んだったに違いない。明け方の気温が10度を切るほど秋も深まってきた昨今、晴れると、たくさんのウラナミシジミが庭や畑を飛び回る。昨年まで、こんなにたくさんのウラナミシジミが乱舞する姿を見たことがない。本当にうれしいことだ。この環境を、何時までも大切にしたい。我が家の庭では、毎年5月に最中の来訪が確認されている。これは、栃木県の中ではとても早い時期であることから、夏・秋への最盛期へ向かっての起点ともいえるだろう。5月の目撃例の状態から、その一年のウラナミシジミの発生状況が伺えるかもしれない。

サツマイモの葉上で休むウラナミシジミ

秋まで咲き続けるウスベニカノコソウは大切な蜜源

コセンダングサで吸蜜のウラナミシジミ
 
コセンダングサで吸蜜のウラナミシジミ
(3-7-5)その他のチョウの生態 (I)アサマイチモンジ へつづく
   
 内   容 (リンク)
(その1) 我が家の庭を訪れるチョウたち 
(その2) 庭で観察した蝶の興味ある行動 
  (その3)     我が家の庭に棲み着いたチョウ
(3-1) ジャコウアゲハの生態
(3-2)アカボシゴマダラの生態
(3-3)並アゲハ、クロアゲハの生態  
(3-4)キアゲハの生態
(3-5)カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、ナガサキアゲハの生態

(3-6)ゴマダラチョウの生態 
(3-7-1)その他のチョウの生態
  (A)モンシロチョウ、(B)ルリシジミ
(3-7-2)その他のチョウの生態
  (C)モンキチョウ、(D)ツマグロヒョウモン
(3-7-3)その他のチョウの生態 
  (E)ヤマトシジミ
(3-7-4)その他のチョウの生態 
  (F)キタキチョウ、(G)ツバメシジミ、(H)ウラナミシジミ
(3-7-5)その他のチョウの生態 2
  (I)アサマイチモンジ 
(3-7-6)その他のチョウの生態
  (J)スジグロチョウ
(3-7-7)その他のチョウの生態
  (K)コミスジ 
(3-7-8)その他のチョウの生態
  (L)ルリタテハ
(3-エクストラ)この幼虫は何? 
 (その4) トラップいろいろ
(その5) 幼虫の飼育便利グッズ
(その6) 我が家を訪れるチョウの食草一覧(庭に自生・植栽している食草)
 (その7)  アゲハチョウの仲間 幼虫の比較
別項目 我が家のバタフライガーデンをめざして
   バタフライガーデンを代表する花々(推薦)と、その花を訪れるチョウ
 付録 世界のバタフラーガーデン
  下野市で見られるチョウ
 我が家のバタフライガーデンをめざして
   ミツバチやチョウに優しいガーデニング
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