我が家の庭の訪問者
(その5)幼虫の飼育便利グッズ

 
(1) 防虫ネットを用いた屋外での幼虫保護・観察
 家の周りを飛び回るチョウが我が家の庭でライフサイクルを営んでくれることを期待して、庭には様々な種類のチョウの食草を植えている。最近、期待通りに、いろいろなチョウが我が家の庭に定住していることが確認できるようになった。このようなチョウの幼虫を観察していると、不都合な現象も目の当たりにするようになった。例えば、スズメなどの野鳥が、かなりの幼虫を食餌している。確かに、注目して観察していた幼虫が、ある日突然姿を消すことなどがよくある。一方、私の個人的な見解として、チョウが庭で発生することには興味があるが、幼虫や卵を捕獲し、屋内の人工的な環境で飼育することは好まない。しかし、野鳥による幼虫の食餌を確認した以上、幼虫の成育を保護するための対策を講じなければならない。その一つの方法は、屋外で、食草と幼虫を網(ネット)で隔離して観察する方法であろう。そこで当分の間、この方法を用いて幼虫の成育を観察することにした。
  
小枝を包み込む袋状のネットを作製するため、素材となるネットを探していると、100円ショップ(ダ○○ー)でとても使い勝手がよさそうな製品を偶然に見つけ出した。このネットは虫除けを目的として、帽子に取り付けて用いるもので、生憎白色のものしか販売されておらず、売れ行きも芳しくなさそうだ。実は白色のネットは、被ると見通しが全く利かず、実用的ではないからだ。しかし、幼虫の飼育用には適しているようだし、そう遠くないうちに販売が中止されることが予想されることから、今のうちに買いだめしておくほうが良いかも?一枚のネットで、カラスザンショウの葉一枚のほぼ全体を覆うことができる(写真右)。私は、この方法を用いて、カラスアゲハ・クロアゲハなどカラスザンショウを食草とする幼虫を観察している
 ネットは筒状で、一方は伸縮自由の紐がつき、もう一方にはゴムがついている。 このネットは、麦ワラ帽などに取り付け、ガーデニングや畑仕事をする際の防虫ネットとして活躍する(?)はず。
筒状のネットを葉に通し、葉の根元のほう(ネットの太いほう)の紐を締めて葉との隙間を作らないようにし、さらにその紐を葉茎に結びつけて固定する。  ネットを伸ばして葉をすっぽりと閉じ込める。ネットの幅は十分にあるので、少々大きな枝でも使用可能。
 
ネットの先端をまとめて窄め、園芸用のワイヤーで絞って固定する。幼虫の糞はココにたまる。 必要時にワイヤーを外して幼虫を観察。袋内を清浄にするため、頻繁に糞の処理をすることが好ましい。 
 
 また同じ100円ショップで、写真のような植木鉢置き台が販売されている。これを利用すると、低性の食草に対応できる。 写真は、鉢植えのスミレにスッポリと被せるとよい。ツマグロヒョウモンの飼育に。屋内での飼育も可能。
 この鉢台ネットは直植えの食草にも用いることができる。写真(左)のとおり、直植えの食草にスッポリと被せればよい。とても簡単に、観察用の隔離箱ができたことになる。もちろん、室内での飼育にも有効と思われる。これは、大いに利用できるような気がする。
注:100円ショップで販売されている洗濯用のネットも応用可能。ただ、少しネットの目が細かく、風通しが悪いことに注意。

        
(2)蛹の羽化を人工的に補足する方法
2016年7月〜8月、今年のジャコウアゲハの発生には凄まじいものがあった。 一挙に大量発生した幼虫は、アッという間に食草のウマノスズクサを食い尽くした。危機を感じて、かなり初期に100頭以上の弱令幼虫を自然に逃がしたものの、ウマノスズクサを全滅から救うことはできなかった。というのも、今年は早々に、終令幼虫がウマノスズクサの基部(かなり太く育っていた)を噛み切ってしまった(写真左上)からで、幼虫の「性悪」が改めて露見したものだ。その後、葉や茎に着いていた蛹が、ウマノスズクサの枯れが進むにつれて、地面に落下する(写真右上)という悲しい現実を多く目にするようになった。そこでこれらの蛹を持ち帰り、屋内で羽化ができるように処置した。
  それは、定位できなくなった蛹を羽化できる状態に保持する方法で、紙で作ったポケットを準備することである。
@ およそ5cm四方の紙を準備する。 A 一つの角を底にしてロート状に巻き、セロファンテープで固定する。太さは、小指のキャップになるくらいを目安とする。
    
B ロート状の紙を適当な長さで切り取り、セロファンテープで割り箸に固定する。 Cキャップの太さは、蛹の大きさに合わせて、適当に切り取る。
割り箸に固定されたキャップに蛹を保持し、これらを発泡スチロールのトレイに刺して固定すれば出来上がり。羽化したチョウは、その後に割り箸を少し上って定位し、翅を伸ばして羽化を完了することになろう。

羽化したてのキアゲハ 雄

羽化したてのクロアゲハ 雄
 
(3)室内での飼育容器
既に述べたように、私は個人的には幼虫を室内で飼育することを好まず、自然の中で成長する姿を観察したいと考えている。しかし、花穂に産卵するルリシジミやツバメシジミのように、幼虫の追跡が困難で、保護ネットの使用が難しい場合や幼虫の撮影が容易な状態を維持するために、どうしても室内での飼育が求められるようになる。
 飼育する容器は何でも良い・・・と言いたいところだが、ある程度の容量があり、透明で、中が見通せるような容器が好ましい。その点で、様々な便利グッズを低価格で供給してくれる100円ショップで入手できる透明カップ(写真右)は、とても使用しやすい容器といえる。コンパクトに切り取った食草の茎を水を含ませたティッシュをアルミホイルでくるみ、容器のなかに収めることができる。写真右はヤマトシジミの幼虫を飼育している。




容器で飼育中のヤマトシジミ3令幼虫

容器の中で羽化したてのヤマトシジミ メス
 

 内   容 (リンク)
(その1) 我が家の庭を訪れるチョウたち 
 (その2) 庭で観察した蝶の興味ある行動 
  (その3)     我が家の庭に棲み着いたチョウ
(1) ジャコウアゲハの生態
(2)アカボシゴマダラの生態
  (2-1)アカボシゴマダラの生態 我が家での生態観察と越冬幼虫の観察
  (2-2)アカボシゴマダラの生態 夏型の生態観 
(3-3)並アゲハ、クロアゲハの生態  
(3-4)キアゲハの生態
(3-5)カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、ナガサキアゲハの生態

(3-6)ゴマダラチョウの生態  
(3-7)その他のチョウの生態

モンシロチョウ、ルリシジミ、モンキチョウ、ツマグロヒョウモン、ヤマトシジミ、
キタキチョウ、ツバメシジミ、ウラナミシジミ、アsマイチモンジ、スジグロチョウ
コミスジ、ルリタテハ
(3-エクストラ)この幼虫は何?
 
  (その4) トラップいろいろ
(その5) 幼虫の飼育便利グッズ
 (その6) 我が家を訪れるチョウの食草一覧(庭に自生・植栽している食草)
 (その7)  アゲハチョウの仲間 幼虫の比較
 別項目 我が家のバタフライガーデンをめざして
   バタフライガーデンを代表する花々(推薦)と、その花を訪れるチョウ
 付録 世界のバタフラーガーデン
  下野市で見られるチョウ
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   ミツバチやチョウに優しいガーデニング
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