種まきの実際
 特に注目すべき草花・野菜の播種 (その1)
特に注目すべき草花・野菜の播種 その1
 1  デルフィニウム  2  ルピナス  3  タナセタム・ジャックポット  4 エキウム
特に注目すべき草花・野菜の播種 その2
 5  カンパニュラ  6  ジギタリス  7 ペタロステマム  8 西洋オキナグサ
 A  レタス B  ピーナッツ  C 鷹の爪(唐辛子)    
挿し木による増殖の実際
 1  宿根アリッサム  2  マーガレット  3  オステオスペルマム  4 ダイアンサス
 
毎年種まきをしなくてはならない一年草や、この地域では宿根草になりきれない宿根草(一年草と同じように毎年種まきをしなくてはならない)について、種の蒔き方や発芽を含めて苗作りが難しそうな種を扱う実際を記録しておきたいと思う。毎年、この記録を見ながら種蒔きを実行するとしよう。
 
播種には市販の発芽専用用土を用い、播種に使用した連結セルを水を張ったトレイに浸して用土を乾燥させないようにする。 本葉が2〜3枚出たところで、改めてポット鉢に鉢上げする。

 
1)デルフィニウム(本来は宿根草) 
2015年 8月10日 播種前処理
 この播種前処理法は、「とものベジフラブログ」で紹介されていたデルフィニューム・オーロラの冷蔵庫蒔きを参考にさせて頂いている。
 種子をペットボトルに入れておよそ半分ほど水を注ぎ、播種する9月の中旬まで約1ケ月のあいだ冷蔵庫で保存する。水の劣化を防ぐため、10日毎に水を交換する。用いた種子は今年採取したものとイギリスから直輸入した Delphinium Elatum 'Magic Fountains' で、猛暑の真っ只中、9月の播種に向けて播種前処理を始めた。今年(2015年)の春にはとてもたくさんの花が咲いたものの意外に種が採れず、急遽イギリスから種子を直輸入した。輸入した Delphinium Elatum 'Magic Fountains'は特殊なデルフィニウムではなく、日本国内でも普通に見られる普及種。処理した種は、気温と天候を考慮して、9月の中下旬に播種予定。
   
ボトルの容量についてはさほど問題ではないが、使いやすさから比較的大量の種子を入れるときには500ml(写真左)とイギリスから輸入した少量の種子を入れる300ml(写真右)を用いた。これらのボトルは、10日毎に水交換をしながら9月の中下旬まで冷蔵庫に入れておく。  
  9月13日、豪雨が続いたあとも曇天と雨が続くという不安定な天候に、あまり気温が上がらないうちにデルフィニウムを播種することにした。 写真左のような128穴のウェルに播種用の養土を詰め、深さ5mmほどの穴をあける。その穴に、冷蔵庫で低温に晒しながら保管していた種子(写真上)を、5粒づつくらいの割でピンセットを用いて入れた。 
   
 冷蔵庫に保管していた種子は、100円ショップで購入した濾過用の網で濾す。中には、既に発芽して根が出ている種子(矢印)も見受けられる。種子の色が黒から褐色に変化しているものが、発芽が進行している種子のように見受けられた。 ウェルに詰めた養土に、ピンセットの先で小さな穴を開け、その中に種子を3〜5粒づつ(発芽率の悪さを想定)入れた。種子はピンセットを用いて穴の中に散らし、穴の周りの養土をかけて埋めた。 
  種子の中には、既に発芽して根を出しているものもある(矢印)。  
 
9月24日、トレイでざっくりと揃って発芽してきたデルフィニウムの子苗。 苗はとても繊細なので、ナメクジとコオロギの来襲に注意しなくては。 
   
 10月初旬、かなり大きくなった苗。本葉も育っているようなので、そろそろ鉢上げしなくては。発芽効率はとても良かったようだ。低発芽率を考慮して、セルあたりに数個の種を蒔いたところ、ほとんどのセルで複数の発芽が認められた。中には5〜6本も出ているところも。
          
混み合った小苗のカンタン鉢上げの方法 
   
発芽して本葉が出ている苗を、セルからまとめて抜き出す。 一箇所からザックリと芽が出ている。
   
 苗を手のひらに乗せ、ホースの水で根の周りの土を洗い流す。土は容易に洗い流される。  
   
 洗面器に水を張り、その中に苗群を浮かせて根をほぐし、苗を1本づつ抜くようにして群から分離する。決して苗を横に引っ張らにようにする(根が切れる)。 1つのウェルから7本の苗が分離できた。苗を1本づつ、6cmポットに植え付ける。 
   
 鉢上げ用の養土は腐葉土:赤玉土(小粒):花と野菜の有機培養土(4:4:2) を混合したもの。上記群から7つのポット苗が完成。
         
 鉢上げ進行中         
   
 2015年10月14日、小苗の鉢上げを始めた。複数の種を蒔いたセルからはたくさんの苗が育っており、普通ならば余分な苗は間引くことが求められるが、デルフニウムの小苗の根は容易にほぐすことができるので、それぞれを別個に鉢上げすることができた(上記)。たくさんの苗になるだろうな。  
   10月28日、ようやく小苗の鉢上げが終了した。ものすごい数だったので、毎日少しづつコツコツと鉢上げし、今日ようやく完了に至った。
 鉢上げした苗を並べて眺めると・・・壮観です。300株はあるだろう・・・ちょっと頑張りすぎましたね。来年はもっと小規模に播種することにしよう。これだけたくさん作ると、友人やご近所に方には喜んでいただけるでしょうが。なぜなら、自宅に植えつけるのはたかだか20〜30株なので、ルピナスとともに残りはみなさんへ差し上げようと思っている。12月に定植するまでに、十分に大きく育って欲しいものだ。
      
     
2)ルピナス(本来は宿根草) 
 上記デルフィニウムと同様にもともと宿根草でありながら、夏の暑さに耐え兼ねて消えてしまう。毎年、色々と工夫して夏越しを試みるも、今年(2015年)も3本ほど残してほとんどすべての株は枯れてしまった。
8月27日 播種に向けて種子に水を含ませ、発芽を確認した種子を選別してポット(播種用連結セル)に播種した。 水に浸す期間は3日〜2週間ほどで、種子が割れて発芽を始めた時にピンセットで拾い上げ、プラ鉢に移した。使用した種子は、今年(2015年)採取したものと購入種子(赤花と黄花の花で、純系の花を確保するため)で、比率は約 10:1。直接土壌に播種すると発芽率はとても低くなるが、この方法をとると発芽できる種子は確実に苗にすることができる。
 
鉢受けにキッチンペーパータオルを敷き、春に採取した種子を入れて種子が浸るぐらいに水を注ぐ(写真左)。そのあと、テッシュペーパーを載せて湿らし、決して水を切らさないようにして発芽を待つ(写真右)。発芽した種は、濡れたテッシュペーパーを通して判別できるので、発芽したものからピンセツトで取りだしてセルに移す。
   
発芽に要する時間は、同じバッチの種子の中でも大きく異なる。早いものでは二日で根を出し始めるが、中には二週間ほど要する種もある。 種子が水を吸収する時間が異なるようだ(写真上)。  発芽が始まる(根が出る)と、ピンセットで播種用養土にあけた穴の中(写真上)に落として土を被せる。下の列は発芽を始めた種子。 矢印は新たに播種する場所を示す札。
   
毎日、発芽した種子のみを播種するので、セルに必要分の穴を開ける。従って、発芽する種子は、手前から奥へどんどんとズレて芽を出し成長していく。 矢印は新たに播種する場所を示す札。最上段は発芽したオーブリエチア。 早く播種した(根が出た)種子から順に双葉が開く。本葉が2〜3枚出てきたら、苗をポットに鉢上げする。ご覧のように、播種した種は確実に苗になるので、毎年苗を作りすぎることになる。 
     
 このように揃って発芽してくる。 本葉が2本ほど出てくると、5cm径のビニールポットに移植する。 
   秋は、とても大きなナメクジやエンマコオロギ、また、見たこともないような様々な毛虫による頻繁かつ執拗な攻撃を受ける。昼夜を問わず監視し対応する必要がある。放置すると一晩で取り返しのつかないほどの悲惨な状態になることもある。
左写真は、わずか一晩で本葉が食い荒らされたルピナス。



   2015年10月10日、セルから小苗の鉢上げがようやく終わった。鉢上げした株は250株はあるだろう。作りすぎましたね。来年は考えます・・・。



            
3)タナセタム・ジャックポット 好光性
タナセタム・ジャックポット(セルの最も下の段)は、発芽するまでに長時間(およそ2週間)を要するとされている。しかし実際には、5日で発芽が確認され、予想よりはるかに早いことがわかった。
 2015年の夏越しに失敗したので、同年の夏に採取して冷蔵庫に保存していた種子を8月28日に播種した。タナセタムの種子は光好性で、発芽効率が悪いとのこと。用土は市販の播種専用土で、播種用セルにかなり大量に播種した。光好性とのことで、播種後に指先で軽く押さえて種子を固定し、水を張ったトレイにセルを入れて乾燥させないようにした。  発芽苗は下から、
 @タナセタム・ジャックポット
 Aニーレンベルギア、
 Bエキナセア(未発芽)、
 Cジャーマンカモミール、
 Dスカビオサ の順。 
 
鉢上げしたタナセタム・ジャックポット(10月上旬)
 
鉢上げしたジャーマンカモミール(10月上旬)
 
鉢上げしたニーレンベルギア(10月上旬)
 
鉢上げしたオーブリエチア(10月上旬)
   
鉢上げした2種のスカビオサ(10月中旬)
4)エキウム 好光性
ミツバチが狂ったように集まってくるというエキウムに憧れ、数年前に海外から種を輸入して苗作りを行った。ネットで播種の情報を入手して秋に種をまき、無事に冬をこしたものの、梅雨時に雨に打たれるというミスを犯して全滅させてしまった。
2016年1月、エキウム栽培に再挑戦するため、以前と同じイギリスの種苗会社から以下の種子を直輸入した。
Echium wildpretii (エキウム・ワイルドプリティー)
Echium hybrid 'Pink Fount Ain' (エキウム・ファンティン)
Campanula Poscharskyana(カンパニュラ・アルペンブルー)
セルに播種用土を入れ、好光性の種子を軽く押さえて用土になじませ、水を張ったトレイにつけて乾燥を防ぐ。発芽には長い時間(およそ3週間)を要するので、最低温度18℃の温室の日当たりの良いところで保持する。
 エキウムの播種は原則的に秋播きとされているが、今までの経験から春先に蒔くのが良いと思われる。なぜなら、比較的小さな苗は夏の猛暑に耐えることができるので、冬の寒さが和らぎ始めたころに蒔くのが最も良い時期と思われるからだ。我が家では温室で発芽させるので、さらに少し早い1月蒔きとしている。
2016年1月22日
 イギリスの「Plant World Seeds」から、注文していた種子が届いた。注文した3種の種子以外に、サービスとして一袋の種子「西洋マツムシソウ」が含まれていた。この種苗会社は、注文すると必ずサービス品が着いてくる。ありがたいことです。この会社は、原種の草花の種子が豊富で、私の偏った要望を満たしてくれることが多く、とても重宝している。
2016年1月23日
 購入した種子を、播種用土を詰めたセルに播種した。セルの下列から ・・・ 
エキウム・ワイルドプリティー、エキウム・ピンクファンティン、カンパニュラ・アルペンブルー そして、西洋オダマキ

偶然にもこの4種の種子はすべて好光性で、播種した種子の上に用土を被せる必要はなく、種子を指で軽く押さえて固定した後、水を張ったトレイにセルを入れて用土を湿らせた。
2016年2月12日,
エキウムの種子を播種して約3週間、続々と発芽した小苗が見られるようになった。播種に用いた培養土にうっすらとコケ(?)が生え始めたようで、その時間の経過を伺わせる。いずれにせよ、確実のその苗が得られたことから一安心といえよう。植え替えまでもうしばらくの間、その生育を見守ることにしよう。
   
特に注目すべき草花・野菜の播種 その2 へつづく
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