第15回パフィオサロン in ろまんちっく村
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テーマ「ciliolare」とその仲間たちのまとめと栽培(協力:花房 英美)
テーマ 『ciliolare』とその仲間たちのまとめ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1. 原種の紹介(歴史・分布・分類) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
『シリオラレーとその仲間達』に含まれる原種としてciliolare(シリオラレー)、superbiens(スーパービーンズ)、curtisii(カーティシー)の3種がある。 1.1 ciliolare(シリオラレー) この仲間の中で一番なじみの薄いあまり見かけない原種であるが、その歴史は以外にも古く1882年には記載されている。自生地はフィリピン・ミンダナオ島北部であり標高600m程の苔むした腐葉土層に地生する。花の特徴はcurtisii、superbiensとははっきり違うのでその区別は容易と思われるが一番の特徴としてステム(首)の長さが挙げられる。その長さはなんと30cmを越えて40cmまで達する。またペタルには黒紫色の斑点が多数あり細縁毛も多い。 1.2 superbiens(スーパービーンズ) 1855年発見・記載されたこれもまた古い品種である。自生地はインドネシア・スマトラ島中央部のcurtisiiより北(オピール山西側)であり、岩のくぼみに根をはる。花の特徴はcurtisiiと比べるとわかり易いが、古くからの記録によれば典型的なsuperbiensはリップが細長くドーサルにグリーンがあまりのらない。ペタルは細長くねじれ後ろに強く反り、細毛も多い。染色体数(2n)=38《curtisiiは2n=36》 1.3 curtisii(カーティシー) 1882年記載。自生地はインドネシア・スマトラ島中央部のsuperbiensより南(バリサン山脈西側)であり腐葉土層に地生する。花の特徴として、リップは幅広くコロンとして丸い感じであり、ドーサルにグリーンがはっきりのる。ペタルは斜下方にねじれ、縁にほとんど細毛がない。染色体数(2n)=36 わかり易いよう下記の表にまとめたが、superbiensとcurtisiiとを見分けるのは難しい。その理由として単に似ているというだけでなく分類上の問題で、昔はsuperbiensとcurtisiiは別種としてRHSでも扱われていたが今ではcurtisiiがsuperbiensに飲み込まれる形(superbiens var.curtisii)、つまり全てsuperbiensとして扱われているからである。この状況下で交配をすればどちらとも言えない個体が多くなり一段と難しくなる。 ただし染色体数(2n)がsuperbiens=38、curtisii=36ということを重視すれば別種として扱うほうが無難であり、かつ、ちょっとした違いを楽しむ趣味家の立場からしても別種として扱って欲しいと思っている。
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2.交配結果 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ciliolare、superbiens、curtisiiを使った交配結果を、いつも通り交配相手を亜属ごとに分けて考察する。 3・1 ciliolareの仲間達×Parvisepalum(パービセパラム)亜属
上記の表は横軸にciliolareの仲間達を、縦軸にパービセパラム亜属を列挙し交配種名がわかるよう、かつ交配の結果を傾向としてつかみ易いようにした。しかし、表を見てもお分かりの通り交配種名のほとんどが未登録であり、今回のサロンでも写真が一枚も紹介されなかった。ほとんどの参加者(全員?)がこれらの交配を見たことがないということが分かり、田中先生から『もし見たら写真を撮って是非送付してください』と依頼があり、また『交配種名の登録についても自分の名前を残す絶好の機会であるから是非交配をお奨めします』とも話があった。 3・2 ciliolareの仲間達×Brachypetalum(ブラキペタラム)亜属
交配相手をブラキペタラム亜属にした場合、パービセパラムとは違いほとんどの交配種名が登録されている。花型は‘ひげ花’בブラキ’の典型的な形でありイメージとしてつかみ易いので良い花・バランスの良い花等の判断がしやすいと言える。この中では特にOlenus(ciliolare×bellatulum)が色もバランスも良く名作と言ってよいほど有名だが、以外にも残している人はないためOlenusを再交配しようという声があがりciliolareの良個体探しが課題となった。その他niveumやgodefroyaeとの交配写真が紹介されたが実物を見る機会がほとんどないため15年ほど前に撮影した写真が用いられた。 3.3 ciliolareの仲間達×Polyantha(ポリアンサ)亜属
交配相手をポリアンサ亜属にした場合、お互い古くから知られているためか交配種名はほとんど登録されている。花形は典型的な‘ひげ花’בポリアンサ’であり、‘ひげ花’בロス’の形を基本にして、交配親により色彩・ペタル幅・ねじれ等多少変わる程度である。写真の紹介はロス・ストネイ・フィリピネンセといった代表的な品種のみであり意外にもサンデアリアナムとの交配写真がなく残念だった。どの程度ペタルが垂れ下がるのでしょうか? 3.4 ciliolareの仲間達×Cochlopetalum(コクロペタラム)亜属
交配相手にコクロペタラム亜属を用いた交配はほとんどされていないため実物を見る機会も写真もなく、唯一Wood Dove(ciliolare×glaucophyllum)が写真で紹介された。意外にもcallosumを使った交配より面白いと思うがコクロペタラムを使うには勇気がいるという結論になった。 3.5 ciliolareの仲間達×Paphiopedilum(パフィオペディラム)亜属
個性派揃いのパフィオペディラム亜属との交配もほとんど残っておらず、charlesworthiiとfairrieanumを用いた交配の写真が紹介された。補足としてcharlesworthiiを使った交配、たとえばDora Crawshaw(charlesworthii×bellatulum)ではほとんどがくず花だが稀に真っ赤な個体がでる、またfairrieanumは花は小さいがその特徴が良く出るのでよく交配される、ということが説明された。 3.6 ciliolareの仲間達×Sigmatopetalum(シグマトペタラム)亜属
シグマトペタラム亜属にはたくさんの種があるが、あまり写真が残っていないもののFrankeanum(tonsum×curtisii)で始まりGeorge Kittel(dayanum×superbiens)、superbiens×hennsianumのアルバムタイプ、Oakesianum(purpuratum×curtisii)等、珍しい交配が紹介された。もちろんひげ花の代表品種であるGoultenianum(callosum×curisii)やGowerianum(lawrenceanum×curtisii)の普通タイプ、ビニカラータイプ、アルバムタイプの写真もあり、これらが基本となりひげ花の交配が進められた経緯が説明された。 |
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3. 栽培 |
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栽培編はいつもどおり山本さんを司会にサロン参加者全員により@栽培品種調査、A温度等の管理、B交配親探し の3項目を中心に議論された。 @ 栽培品種調査・・・ciliolareを栽培している人が少ないことが予想されていたため管理方法の前にサロン参加者がどの程度ciliolareの仲間を栽培されているかアンケートをとった。その結果ciliolare→3名、superbiens→5名、curtisii→5名と、ciliolareだけでなく全体的にも少ないことが判明した。またあまり見かけないciliolareを保有している方はsuperbiensもcurtisiiも栽培しているということも分かった。 A 温度等の管理・・・冬の最低温度は高く(18℃以上)、夏はできるだけ涼しくすることが重要である。特に夏の夜温をさげるため冷房を入れている方もいた。水遣りはコンポストにもよるが1年を通じて乾かさないことが基本。ciliolareとcurtisiiは自生地が腐葉土層ということを考慮し水苔での栽培を、superbiensは比較的岩がごつごつした所なのでMIXコンポストで栽培をという話しもあったが、いずれにしろ水持ちの良いコンポストで植える。遮光はかなり強め(70%)の方が多いが、50%の方もいた。ただし50%の管理では扇風機で風をかなり強めに当てているということなので光は弱めが無難である。上記の管理が基本であるが、ciliolareは栽培が難しくcurtisiiと同じように管理していても成長が遅く2年に1回しか開花しない等の指摘もありciliolareの栽培難が浮き彫りになった。 B 交配親探し・・・ciliolareの仲間達では特にciliolareが稀少、かつ観賞価値が高いということで交配親探しが話題となり、良個体を見つけたら連絡をとりあい、是非自分達で交配しようということになった。 |
展示されたものの中からテーマに関したものを集めてみましたが、意外と少ない状況でした。 |
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Oakes Ames (rothschildianum x ciliolare) |
出品者 : 小林 重信 | |
NS=9.0x6.4 | |
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curtisii 'Jun' HCC/AJOS |
出品者 : 大床 豊治 | |
初咲きにしては立派!! NS=16.0x12.0 |
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