2003. 7.10

長期掲載 ! パフィオぺディルム研究会 代表 田中利典

ドロマイトは栽培に役立つか?

栽培におけるドロマイトの功罪

 ほとんどのパフィオペディルムが、東南アジアにおけるドロマイトの岩盤の上に分布していることは、多くのパフィオ愛好家には周知のことだと思います。一方で、我々愛好家には、「パフィオペディルムを上手に育てる」ことが、永遠のテーマとして立ちはだかっています。そして、このドロマイトを栽培に用いると良いのではないか・・・という疑問が投げかけられ、かつて何度も何度も繰り返し議論されてきました。
 最近JPAでも、「ドロマイトを用いると株の生育が一段とよくなった」という話が持ち上がりはじめことから、2003年6月に東京の科学技術館で開催された例会(鑑賞会)で話題として取り上げ、参加者の皆さんより白熱した討議が交わされました。実は、この会でJPAとしての見解がまとまればありがたいと思っていたのですが、論議は沸騰するばかりで、明確な結論を出すには至りませんでした。そして、結論は、以下に示すように、後日再び話し合うことになった次第です。
 
ドロマイトの有効性が疑わしいというわけではありません。議論するためには、確実な経験や資料が不十分であるということになります。

 また一方では、議論をするには前提の条件があります。パフィオにとって好ましい栽培条件の下でないと、有効な結論が導き出せません。皆さんはそれぞれ自分の方法で栽培されていますが、パフィオにとって比較的良い条件で栽培されているとは限らないため、色々と栽培方法に工夫を凝らしても、必ずしも良い、あるいは、顕著な結果が出にくいと思われます。また、もともとパフィオの生育は緩慢なので(そうではないという方も多くおられます)、その結果の判断は極めて困難であり、かつ、主観的になってしまうこともあります。このような困難な問題点を理解しつつ、皆さん方がそれぞれの立場でドロマイトを利用した栽培を試みることにより、自分なりの結果を出して再度議論しようということになったわけです。すなわち、みんなでやってみよう・・・ということになりました。

コンポストにドロマイトを用いることの有用性に関する試み
(JPAからの提案)

 今までの栽培の経験から議論は予想以上に白熱しました。多くの経験から、役に立たなかったなどの意見も多々ありました。私(田中)自身も有効性にを疑問視していたのも事実です。水にはほとんど溶けないとか、雨水はCO2を吸収して酸性だから雨水だと一部は溶ける・・・とか、色々な方向から議論は繰り返されました。そして、大まかな結論として、使ってもマイナスにはならず、何か良さそうだと言う意見にまとまりました。
 色々な理屈もつけられるのですが、机上の空論に終わらないよう、みんなで試し、観察してみようということになりました。そして、会員の小林さんから提供していただいた葛生のドロマイトを各自持ち帰った次第です。
この中で、議論の方向として、何か良さそうだから使ってみよう・・・という結論を前提に、次には
1)どのような石灰岩がよいか? 
 
普通の石灰岩がよいのか、ドロマイトがよいのかという議論がありますが、後者の方が有効性が高いと思われます。石灰岩とドロマイトの違いは下記の専門サイトを参考にしてください。また、コンポストで使うには粒状のドロマイトの方が有効だろうと思われます。
栃木県の石灰・ドロマイト URL:http://www1.ocn.ne.jp/~lime2000/


葛生の砕石されたドロマイト


沖縄の砕石されたドロマイト?(写真提供:渡名喜元正氏)

沖縄の砕石されたドロマイト? (最も小さな粒に選別されたもの)
 
 (検証!) 「沖縄のドロマイト」と「葛生のドロマイト」 (’03.07)

2)どのように使えばよいか? 等が議論されました。
 これは、私(田中)も驚きました。私は鉢の上に蒔くというイメージがあったのですが、経験者によるとコンポストに混ぜるのだそうです。100%ドロマイトでもうまく栽培している人がおられるそうです。経験によると、ブラキ系で30~35%の混合。整形花でも20%混合するそうです。

 さらにJPAでは、鑑賞会終了後も今日に至るまで連日のように、JPA専用のメーリングリストにおいても熱心な議論が続いています。また。沖縄の会員(渡名喜元正氏)から、沖縄のドロマイト?(琉球石灰岩)は利用できるだろうか?との意見が寄せられました。即座に結論は出せないものの、とても面白そうだ。これも使って試してみよう・・・という話しにまとまりました。現在、JPAの会員の中ではドロマイトの配布による各人の試験実験が始められたところです。


emersonii (sib)
戸田貴大さんによる、ドロマイトの分量を変えた植え込み材料の違いによる栽培実験。
結果が楽しみで、待ち遠しいですね。(写真提供:戸田貴大氏)

●上段1,2(6月20日植え替え)、3,4(6月28日植え替え):ドロマイト、バーク等量
●下段1,2,3,4(6月8日植え替え):セラトン、日光砂、バーク等量            
(撮影 ’03 7月4日)
この春、100%ドロマイト(葛生産)に植え替えられたブラキペタラムでは、立派で丈夫そうな長い根が観察されている(写真提供:小林良一氏)
おわりに
 皆さんのなかにも、同じような経験や意見をお持ちの方が必ずおられると思います。ぜひ、皆様のご意見や経験をお寄せください。また、ドロマイトの使用について、興味があり、是非試してみたいという方は、下記まで連絡してください。尚、今後、上記の結果や皆様からの情報はこの場にて報告していきたいと思っています。
連絡先
◎ 情報の提供 : 田中 利典 
◎ ドロマイト(葛生産)の供給 : 小林良一
◎ 沖縄産ドロマイト配布は考慮中
<ドロマイト販売価格>
◎会員のみ  10K 1000円送料別
 お問合せ 小林良一