ベトナムのパフィオペディルム

まずは、ベトナムで報告されている品種を紹介することにしましょう。実は、このような報告をすることを考えていなかったもので、現地で写真を撮っていないもながあります。今のところ、代わりの写真を掲載しておきますが、次回ベトナムを訪問したときには撮ってくるようにしますのでお許し下さい。

(1) Paph. delenatii

新しく発見されたデレナティーは、花が大きく形も良い。中にはペタルの幅が5 cmを越えるものがあるという。交配親として期待したい。
1998年、1月23日にベトナムからデレナティー・アルバムの写真が送られてきました。葉に紫紅色が全く認められない青葉の株を入手したホーチミンの趣味家が咲かせたそうです。アルバム個体はいつか出てくると思っていましたが、やはりありましたね。でも、この個体ではポーチが若干ピンクを帯びているように見えるのですが、気のせいでしょうか。

1999年6月25日にハノイからデレナティー・アルバムの写真が届きました。ベトナムでは葉が紫紅色の色素を持たない緑色の個体がいくつが発見されていますが、そのほとんどは上記のようにポーチなどがわずかにピンクを帯びる不完全なアルバムだそうです。しかし、 JAVECOでは完璧なアルバムと思われる個体を選別してセルフクロスしたところ、苗はわずかにしか取れなませんでしたが、フラスコから出して一年も満たないうち(株はNSが10cm似も満たないほど小さななものだそうです。)に下のような純白に花を咲かせました。この結果から、セルフクロスした親株は完全なアルバム個体であると言うことができます。やはり、アルバム個体はあるものなのですね。

Paph. delenatii v. album


(2) Paph. malipoense

中国のマリポアに近いベトナム国境あたりで発見されている。私がハノイで見たものは、ペタルが三角形に尖った決して良形とは言えない花ばかりを咲かせていた。

(3) Paph. hiepii  新種

最近発見された新種。葉はマリポエンセとは区別できない。マリポエンセに比べると地下茎が良く発達しているという。新種のページを参照。

この花は普通のヒエピーの花よりかなり優良な形をしています。まるで、ジャッキーのようですね。また、この花はJAVECO(ハノイ)で葉がすべて緑色のアルバム個体と思われる株から咲いたものです。残念ながら、ペタルの基部に僅かな紫紅色の微細点が入っており、アルバム個体ではなかったようです。
1999年、1月22日に改めてハノイから送られてきたヒエピー・アルバムの写真です。これは本物のアルバム個体ですね。早速セルフクロスを依頼して置きましたが、苗が取れるのが楽しみです。

JAVECOの研究所で栽培されているヒエピー(Paph. hiepii) の株の外観は、マリポエンセと全く変わらない。上記ヒエピー(Paph. hiepii) の蕾。残念ながら、ちょっと早すぎた。どんな花なのか、実際に見たいですね。花が咲いたら写真を撮って送ってくれるように頼んでおきました。

(4) Paph. emersonii

ベトナムの新品種として最近話題になっている フォングラナエPaph. huonglanae 参照。

昨年(1997年)12月、ベトナム北部ナパ州で発見された。株は、中国産のエマーソニーのものより一回り大きいようだ。中国産のエマーソニーとは異なるという噂があるが、真偽はわからない。花を待つしかないであろう。

今日(3月12日)、ベトナムからエマーソニーの写真が届きました。ベトナムのエマーソニーの花に関する噂は全くのデタラメだったようです。ご覧のとおり中国産のエマーソニーとほとんど変わりません。残念ですが・・・。やはり、噂は噂! 鵜呑みにしてはいけませんね。
1998年5月にベトナムを訪れたときに頂いた写真です。温室で咲いたエマーソニーの優良個体で、交配用に選別されたものです。セルフクロスをしていましたが、上手く種が取れるといいな。上のエマーソニーとはリップの色は違いますが、同じコロニーから見られる個体変異です。

(5) Paph. concolor

雲南タイプ

ベトナムの中部以南に分布する。花の形は従来のタイ系に酷似するが、葉の形は異なるようだ。変種かも知れないが、詳細は不明。 中国との国境付近で発見されている。詳細な分布は不詳である。写真の個体は中国産のもの。

(6) Paph. dianthum

ベトナム北部の山岳地帯に広く分布している普通種。花は中国産のものと変わらない。

ベトナムのパフィオペディルム(その2)につづく