ベトナムのパフィオペディルム(2)

(7) Paph. helenae  

新種

パフィオペディルムの中で最も小型の品種であろう。バービゲラムに酷似するが、セパルの色彩が全く異なる。文献では、株柄が極めて小さく報告されているが、平均的に見るとバービゲラムと全く変わらない。相違点は、葉が厚く、緑色が強いことくらいである。 ハノイのある園芸家の庭には数百株のヘレナエが直植えされ、10月にはかなりの株が可愛い花をつけていた。ほとんどの花は写真のような褐色を帯びたものであり、セパルが黄色になるものは極めて稀少な個体である。

ヘレネーの普通個体は、濃い黄色地に褐色味の強い紫紅色を帯びる。他の品種と同じように、その花茎から容易に判断できる。

これはとてもいい個体ですね。JAVECOで選別した特別な優良個体だそうです。セルフされてこの苗が手に入ればいいのに・・・。

Paph. helenae v. sanderae ( ヘレネーのアルバム個体 )

ヘレネーのアルバム個体は紫紅色を欠く純一の黄色個体である。そこで、個体名をアルバムとせず上記のようにサンデレーとした。極めて稀少な個体であるが、花茎が緑一色で花茎の線毛が白色であることから容易に区別できる。この個体を見出したJAVECOでは、早速セルフクロスを行っているという。

ヘレナエが生育するベトナム北部、中国との国境近く。遥か彼方(中国)まで同じような地形が繋がっているのが、お解り頂けると思います。ここから先、山に入っていくのが大変なんだそうです。

このような石灰岩質の山が大きな壁のように立ち並んでいる。高さは4〜500メートルはあろう。ヘレナエはこのような山の中腹、棚のように広がった岩盤に生えた苔に根を大きく張っているという。 JAVECOの調査隊。ベトナムにとって未知の地域である中国国境地帯のラン野調査。私は、特にパフィオの調査を強く依頼している。本当は一緒に行きたいのですが、体の方が・・・保たないでしょうね、きっと。

JAVECO(ハノイ)の研究所で栽培されているヘレナエ。

株柄はヘレナエに似ているが、葉の色や感触がヘレナエとは異なる。もちろん、バービゲラムとも大きく異なる。ヘレナエと同地域に分布するというが、何でしょうか? 花が咲くまで待つことにしましょう。花が咲いたら、その写真をすぐに送ってもらえることになっていますので、それまでお待ち下さい。・・・・この株はヘンリアーナムでした。詳しくは、ヘンリアーナムの紹介を見て下さい。

ベトナムでも、関係者の間ではヘレナエの発見は話題になっている。ハノイの趣味の会が発行する雑誌では、昨年度12月号にヘレナエの写真が表紙を飾った。でも、表紙をめくると、踊りや盆栽の記事ばかりで、ランの栽培はまだまだ肩身の狭い範疇なのでしょう。

ベトナムのパフィオペディルム(3)につづく