皆さんによる意見・希望・質問コーナー(2)

Q 北海道 Nさん
 今日、我が家で咲いた、多分ビニカラー系の交配種だと思いますが、もし個体名ご存知であれば、教えてください。一般図書で調べましたが、似た品種がありません。花については基本的に黒一色で、ペタル幅が広く気に入ってます。ただ、札落ちなのがちょっと残念です。

A 結果を先に申し上げると・・・、解りません。どんなにパフィオに精通している人でも、花を見て交配が解ることはありません。神のみぞ知ると言うところです。原種や、原種一代交配の場合には、可能性の高い交配を予想できることがありますが、一旦ラベルが落ちると、交配名を知ることができなくなりますので、注意が必要です。花の様相から判断すると、ビニカラー系のヒゲ花(カロッサムタイプ)の花と、フィリピネンセなどの多花系品種(ポリアンサ)との交配でしょう。この品種が原種交配であるか、ノーベルティーであるかも解りません。しかし、交配の現状から、おそらくヒゲ花の交配品種にポリアンサの原種をかけていることが多いようです。ポリアンサの交配品種を交配に用いられることは極一部です。このような、ある程度の予想(系統)はできますが、確定はできません。調べる方法は、入手先から交配者をたどっていくことです。しかし、交配者が解っても、類似の交配を同時にしている場合にはお手上げになります。交配者に相談するのが一番でしょう。趣味家にとって札落ちの品種は価値がゼロに等しいものです。このようなルートを辿ることは並大抵のことではありませんが、写真のように優良な個体であればあるほど、その苦労はしがいがあるのではないでしょうか。手を尽くして、調べてみて下さい。(Dr. たなか)

Q 長野 Aさん
 私の収集株(カトレアの原種)にバイラスが出て困っています。処分するのが良いと思いますが、貴重種なので迷っています。バックを切っておきましたら、新芽が出て、そちらは今のところ異常有りません。処置などアドバイスをお願いいたします。

A 写真を見ると、確かに、ウイルスの感染が濃厚です。このような紫褐色の点は、比較的若い葉が強い光線にあたった時にも出ることもあります。葉を透かしてみて、葉肉に濃淡が見られるかどうか、花に病症が出るかどうかで、本当にウイルスに感染しているかどうかが判断できます。ウイルスの確実な判断は、ウイルスに対する抗体を入手し、抗原(葉のウイルス)と抗体との結合で見る専門的な方法がありますが、一般の方には手には負えないでしょう。また、この葉を押しつぶして、シロザという植物の葉裏に傷が付くくらいにこすりつけると、ウイルスに感染していると病症が現れます。ウイルスに感染している場合には、ご存じの通り、治療はできません。他に感染させないように、気を付けて栽培を続けるか・・・ですが、花に病症が出るようでしたら観賞価値がありませんので、処分するしかないでしょう。さて、何とか助ける方法ですが、株がそれほどウイルスに侵されていないとき(株の中のウイルスが少ないとき、もちろん治療はできませんが)、環境をよくして順調に栽培(生育が順調なときはウイルスは現れにくい)すると、かなり長い間花を楽しむことができます。しかし、株が老朽化すると必ず出てきます。他に感染しないように、使ったナイフ等の器具の消毒など、くれぐれも注意して下さい。唯一の良い方法は、新芽の成長点にはウイルスが入らないとされていますので、メリクロンをかけることです。生産業務として大量の苗を得るのではなく、少ない苗数を取る場合、コストが割高になりますが、大切な株の維持にはやむを得ないことだと思います。しかし、実は、現実問題として、このメリクロンも確実だとは言えません。本当に、新芽の成長点だけを確実に採芽することが、極めて難しいのです。多くのメリクロンは採芽を確実にするため、かなり大きめの成長点を取ります。いずれにせよ、たとえ、採芽された成長点に若干のウイルスが入っても、新しく採芽した苗は生育が盛んですので、開花株になっても当分ウイルスはマスクされていると思います。どうしても、ウイルスフリーの株に戻したいなら、もう一度採芽することもできますし・・・。難しいことかも知れませんが、株が第一ならメリクロンをお勧めします。(DR. たなか)

その(3)につづく

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