水耕栽培
 最近、水耕栽培がさかんに行われてきている。比較的低い温度の新鮮な水を循環させることにより、蘭の生育を促そうというものである。フラグミペデイム、マスデバリア、ディサなどで期待通りの良い結果をだしているが、その他の属でも驚く程良い結果を出しているようだ。ここでは、水を多用するわけだから、是非セラミックスを用いていただきたい。水の劣化を防ぐばかりでなく、さらに生育の進行を促すものと考えられる。
上図は、基本的な水耕栽培の方法を示している。特徴として、
(1)熱帯魚の飼育に用いられる濾過器を備え付け、水を濾過する。
(2)熱帯魚の飼育に用いられるエアーレーションシステムを用いて、水に常時空気を供給する。
(3)水に含まれる腐敗物を分解する好気性のバクテリアを育てるために、熱帯魚の飼育に用いられる落下型濾過器を用いる。
(4)遠赤外線を放出するセラミックスを多量に用いる。セラミックスの多孔はバクテリアの住む場所にもなる。

実例 宇都宮の生産農家における水耕栽培
 水耕栽培の水槽を設置してから未だわずか半年であり、明確な結果が出ているとは言えないが、一応の成果が得られつつある。その状況を、結果の中間報告と供に紹介することにしよう。
水槽内の水を循環するポンプと特別に設計されたセラミックスによる水の処理装置。3段になったアクリルの筒には、各100ケくらいのセラミックスボール(直径3cm)がつまっている。筒は、発生した藻により黒く見えるが、中央部には藻は全く生えておらず、清浄な水が流れている。
温度管理のための、温度記録計。将来は、真夏でも20度以下に抑えたい。
水耕栽培の全景。幅約1.5m,長さ約3.5mの木製ワクにビニールシートで覆った簡易水槽を作った。深さ約5cmになるように、水を巡回し続けている。落下式の水は手前のポリタンクに溜まり、ポンプで吸い上げ、セラミックス処理装置を経由して水槽に戻る。
さまざまなランが、順調に生育している。パフィオも、水を好むアルメニアカムは機嫌が良さそうだ。
水を好むフラグミペディウムも生育がよい。この春に株分けした株は、生き生きと成長を続けている。やはり、フラグミペディウムは水耕栽培にぴったりの品種であろう。
夏の暑さを嫌うディサも、この方法でうまく栽培したい品種である。暑い夏を経過したディサは、親株は上部が枯れてしまったが、まわりから新しい小苗が元気に顔を出してきた。順調に育てば、夏越え成功といえる。水温を下げる工夫を加えれば、さらによい結果が得られるであろう。
元気に生育を続けるマスデバリア。この品種も、暑い夏越しを水耕栽培で乗り切りたい品種の一つである。果たして、期待通りの結果が得られたようだ。しかし、コクシネアなどの原種の一部は、もう少し工夫が必要と言える。
アルメニアカムは、夏でも生育を続けている。中には、すでに花を咲かせようとする株もある。
水を好む植物の代表的なサラセニアの栽培には最適な環境のようだ。真夏にも、葉はグングンと成長し続けている。

水耕栽培 その2 熊本の蘭友 へつづく

(3)セラミックスをコンポストに利用する。

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