実際の利用法と結果
 さて、水の話に戻って、このような’良質の’水を洋ランに与えることが、ある いは、遠赤外線を直接洋ランに照射する(洋ランの体内に含まれる水のエネルギーレベルを上昇させると思われる・・・私信)ことが、洋ランの生育にどの様な影響を与えるのであろうか。先に述べたように、このような効果が実験的に証明されるにはまだまだ長い時間を必要とするであろう。しかし、我々のような一般人にはこの様な確実なデーターを気長に待っている訳にはいかないし、待つ必要もないであろう。我々には我々なりの経験と方法で、その効果を調べることができるはずである。また、このような効果を我々の手で実際に調べてみることに価値があると考えられるし、効果があるものなら大いに活用すべきであろう。一方、トピックスとも言うべき情報を会員の皆様にお伝えするのも、我々研究委員会の責務の一つであると考えられる。この様な発想に基づき、研究委員会を始めとする一部会員の協力により実施調査を始めた。効果が認められると思われるものについては、更に生産を依頼して一般会員に配布することにした。調査は1990年の秋頃から次のような使用方法の違いによる分類で行った。生育における効果についての詳細な結果は、少なくとも最低一年間の生育状態を観察する必要があるし、特に植替え時期を経過して、その根の状態などを直接観察する必要がある。詳細な結果は後日に報告することにして、ここではとりあえず下記のような製品を使用して頂いた会員のなから32名の方々に口頭でその印象を伺った。それぞれの方法と、その結果についての印象を報告することにしよう。

(1)遠赤外線を直接利用する方法。

 遠赤外線を洋ランに直接照射して、その効果を見る。遠赤外線照射機というの は、ニクロム線による熱でセラミックスの温度を上げ、効率よく遠赤外線を放射 するように工夫されたものである。遠赤外線照射機は様々な製品として市販され ているが、優劣の差が激しいので入手するには注意を必要とする。信頼できる照 射機のなかにパワー技研の製品があったが、この製品はストーブ型なので温室内に 固定するにはやや問題があると思われる。しかし先に述べたように、この装置の製造販売は既に中止されている。研究委員会ではサプライコントロール社に依頼し、細長い蛍光灯型の吊り下げタイプのもの(300W:3台,500W:2台)を試作した。秋の声を聞き始める頃にスイッチをいれ、サーモスタットと併用して20度以下になると作動する(使用例)ようにしておく。

ストーブ型農業用遠赤外線照射器

蛍光灯型試作品
上図のように、温室の適切な場所から遠赤外線を照射するようにする。
 実験温室で、暖房機が故障していたのに気付かないままひと冬を経過した。記録によると、12月から3月まで最低温度が5度で経過していた。しかし、写真のようにパフィオペディルムは元気な状態を示していた。遠赤外線の効果と思われる。遠赤外線が植物体の水分のエネルギーレベルを上げることにより、植物体は実質的な寒さを感じなかったと推察される。

結 果

長 所

(1)秋が深まるにつれて洋ランの生育はゆるやかに停止していくと考えられるが、 照射機を用いると生育(特に根の成長)が進行し続けることがよくみられる。す なわち、根冠が緑色の状態に保持されている。特に、カトレアやバンダのような 根が露出しているような洋ランについては、その結果が顕著に見られる。
(2)真冬でも新葉がでたり、伸びたりしているものがある。
(3)病気が少ないようだ。
(4)開花率がよい。時には、未成熟の個体にも花が着くようなことがある。
(短所と 言えるかも知れない)

短 所

(1)乾燥が激しい。
(2)照射機近くの洋ランが火傷になることがある。温度がさほど高くなくても、長 時間連続して照射されるため、電熱線の熱で火傷(低温火傷)が引き起こされる 恐れがある。水蒸気が充満していない限り遠赤外線は遠距離まで直進すると考え られるので、2メートル程の距離をとっておくようにすることが必要であろう。
(3)ダニ、カイガラムシなどが増えたようだ。 コメント:遠赤外線の生体への直接照射はかなり効果があるとおもわれる。これ は洋ランばかりでなく、山野草などの一般植物の栽培にも広く利用できると思われる。
試作した製品の品質もよく、希望があれば一般会員への配布を可能にした いと考えるが、サプライコントロール社は基本的に製品の製造販売を行わないた め供給が自由に行えないのが現状である。このような製品を製 造販売してくださる業者の出現を願っている。希望があれば、ご一報下さい。

(2)セラミックスで処理した水の利用

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