その16
平成17年9月
本橋由次 Yuuji Motohashi
カタセタム・シクノチェス類の育て方
(問)
 今月の出品花に、一つのバルブから5本もの花茎を着けたCyc. ヘレンフサナムが出品されていましたが、どのようにすればあれだけ沢山の花茎を着けさせる事が出来るのでしょうか?

(答)
 メキシコから南米の熱帯地域に分布するシクノチェス・カタセタム類は、その奇異な形態からとても興味深く、また多様で美しい色彩の花が多いため、私たち趣味家にとっては格好の栽培アイテムとなっております。
かく言う私も6年ほど前にのめり込み、三郷の某蘭屋さんから一度に50株以上も買い込んでしまい、後日、園主に冷や汗(?)をかかせてしまった事を覚えております。

さて、これらの属の栽培につきましては、昔から多くの先輩方々が試行錯誤をされ、各自持論を展開されていたようですが、ここ最近は高温性の植物であることに皆さん気づかれて、今月出品された株のように、冬季の最低温度を20℃以上の高温で管理し、冬も根を枯らさずに生長させる栽培方法が定着されたようです。

今月出品された株も、Cyc. ヘレンフサナムにしてはとても大きなバルブに仕上がっていましたので、5本の花茎は至極当然のものと思われます。これらの属の植物の花の量はバルブの大きさに比例し、花茎数は巧く乾燥させる(強めの光を当てる事も乾燥と同じ)と、その数を増やします。
つまり生長期に多量の養水分を与え、風通しを良くして鉢内が早く乾くようにし、バルブ完成間近に少し強めの光を当てるか、乾燥ぎみにすると、多くの花茎を出してきます。(昨年の栽培コーナーに書きましたように、あまり強い光を当てすぎますと雌花が咲いてしまいますので注意が必要です)

また、これらの属の植物の周光性については、どなたもご存知無いようなので申し上げておきますが、高温を保ち電照する事により、一年中休まずに生長を続ける生態も併せ持ちます。
したがって、厳密に私が満作と思うのは、一年中22〜30℃程度の高温で管理し、バルブが完成した頃より一日3〜5時間の電照を開始して二次生長させ、多くのバルブに沢山の花茎を出させる事が出来れば、栽培賞ものとなるものと思われますが、日本ではまだ誰もやった人がいないようです。(電照による二次生長については、実際に私も確認しています)

さて、以上が正論の栽培方法でしょうが、ここで私の勝手な栽培についての持論を披露させて頂きたいと思います。
このカタセタム・シクノチェス類は、昔の栽培方法にある様に「冬季の間、鉢に水がかからないように鉢を倒して水遣りをストップして根を全部殺し、春に新芽が出て来た後に、根が鉢内にしっかり張ったのを確認してから大量の養水分を供給して、一気に生長させる」という単年の栽培方法に、私としてはとても省エネ的で温室の場所もとらないため、大賛成ではありませんが中賛成(?)で毎年実行しております。

つまり、春先の3月にごく小さめの素焼き鉢に植え替えて、水を与えずに日に良く当てていると、4月頃より新芽を出して生長を始めます。新芽が段々大きくなり、根が鉢に内側につくようになった頃から、徐々に水遣りと肥料やりを多くすると急に生長を早め、7月始め頃には鉢底から根が飛び出してきます。したがってこの時期に私は、根に注意して一回り大きな素焼き鉢にそっと鉢増しをしています。春先は冬季の乾かしにより、根が全部枯れているため小さな鉢に植えましたが、この頃には鉢内は根で一杯になっているので鉢増しをするのです。

以前は、春先に普通の大きさの素焼き鉢に植えつけていましたが、何時も夏には根が底から外にはみ出してしまい、移動のたびに根を傷つけてしまっていました。そこで一度、この時期にどの位根が張っているものかと思い、鉢を割って中を確認してみると、鉢の内側には沢山根が張っていましたが、鉢に中心には全く根が有りませんでしたので、それだったらもっと小さな鉢に植えつけるべきだと思い、以後この方法を実行しておりますが、特に作落ちした感じにはなりませんので、皆さんのご参考になればと思います。