ラン懇話会第65回大会のご報告

  ラン懇話会第65回大会が平成24年7月29日に開催されました。
IUCNラン専門家部会日本委員会との共催で新宿御苑インフォメーションセンターにて行われました.
梅雨明けの蒸し暑い日ではありましたが,80名ほどの方にお集まりいただきました。
前半は,「クマガイソウの保護・保全にむけて」,全国各地の里山や低山地に自生していた「クマガイソウの保護・保全と復元活動」について講演がありました.
後半は,会場を新宿御苑から別の会議室に移して,「ラン懇話会第65回大会」総会と講演会がありました.約40名が参加され講演が終了してからの懇親会も盛況でした.

○クマガイソウの保護・保全にむけて○

 午後12 時30分に会長の挨拶が始まり(写真左)、今回の大会の趣旨や講演課題の紹介がありました。また、環境省からもお言葉をいただきました(写真右)。
 梅雨明けのむしむしした日ではありましたが,沢山の方にお集まりいただきました.

   今回の最初の講演は、「福島市水原クマガイソウ生育地の保全」について、福島大学の黒沢氏の講演からでした。クマガイソウの果実形成率やマルハナバチの授粉率などのデータを示し、クマガイソウの生育場所について具体的な提案をしていただきました。

 2番目は,「クマガイソウの保全生態学的研究から」というタイトルでミュージアムパーク茨城県自然博物館の小幡氏の講演でした。1977年から1979年のクマガイソウの生態の研究で、クマガイソウの地下茎の緻密なマップはすばらしものでした。

   「クマガイソウの無菌播種から順化まで」で山形県村山農業高校 園芸サイエンス科の長年の研究成果の報告でした。クマガイソウの無菌播種に成功し、培養環境から温室(野外)での栽培に関する研究が紹介されました。

 「農家の裏山はたからもの クマガイソウ20年の変遷」というタイトルで任海氏の講演は、今までの3題の講演とは趣が変わりました.宅地造成による開発の中どうやって昔ながらの自然を残すかという大きな課題に取り組んだ報告でした。その結果シンボル植物としてのクマガイソウにたどりつき、20年間の変遷を紹介していただきました。

○礼文島のランと自然○

   最後の公演は「礼文島のランと自然」を宮本氏によって紹介されました。礼文島に自生しているランだけではなく、自然環境も含めて紹介していただきました。

○ラン懇話会第65回大会○

 ここからは会場を移し,ラン懇親会の総会が行われました.40名ほどの会員が集まり,平成23年度の会計報告と24年度の計画が提案され承認されました。

   ラン懇話会の公演では,「エクアドル雲霧林のラン」を会長の斎藤氏によって紹介されました.標高2800mの雲霧林の気候は,気温が高くはないが湿度が高いということで、なかなか想像しにくいものでした。この地域に4000種のランがあるということでこれもまた想像しがたい(うらやましい)お話でした。

 懇親会はお茶とお菓子を食べながらの茶話会となりました。例年、懇親会の参加者は少なくなる一方でした.前回からの茶話会形式にしてからは気軽に参加できるとあって沢山の方に参加していただけるようになり、盛会な会となりました。