2008. 3. 3

斉藤先生(JPA会員)
世界らん展日本大賞2008受賞


世界らん展日本大賞2008(2月23日(土)〜3月2日(日))にてJPA会員の斉藤正博先生が日本大賞受賞いたしました。おめでというございました。思いがけない大賞に本人は驚いていましたが丹精こめて蘭を栽培されている情熱が実を結んだことと思います。またあわせて2位となる優秀賞も受賞しました。


▼日本大賞 
 Eul. roempleriana 'Yoko Y.Saitoh'

▼優秀賞
 C. trianae 'Okada'


▼日本大賞 
Eul. roempleriana 'Yoko Y.Saitoh'

▼優秀賞 
 C. trianae 'Okada'
読売新聞NEWSBOXより

世界らん展、3月2日まで開催

世界らん展の特別内覧会でにぎわう会場==関口寛人撮影

23日に開幕する「世界らん展日本大賞2008」(読売新聞社、NHKなど主催)の開会式と作品の審査が22日、東京ドームで行われ、茨城県つくば市の医師斉藤正博さん(50)が出品した2作品が、最高賞の「日本大賞」とそれに次ぐ「優秀賞」にそれぞれ輝いた。

 上位2賞を一人が独占したのは、18回目を迎える同展では初めて。審査は、6部門に計1508点の応募があり、うち日本大賞を選ぶ「個別審査部門」には、1007点が出品された。開会式には、高円宮妃久子さまが来場された。

 今年のらん展は「蘭(らん)がある。伝えたいことがある。―大切なあの人へ届けたいオーキッド・メッセージ」をテーマに、3月2日まで開かれる。

2008年2月23日  読売新聞)


大賞受賞の様子と副賞のベンツ (撮影 亀井隆)

(撮影 亀井隆)
常陽リビングニュース 2008/03/03より

咲かせる楽しみ 仲間とともに

つくば洋蘭会会長 斉藤正博さん

華麗な花姿に魅せられランのとりこになったつくば市の斉藤正博さん(50)は、3月2日まで東京ドームで開催されていた世界らん展日本大賞2008の個別審査部門でグランプリとなる日本大賞と、優秀賞をダブル受賞。アマチュアにしてプロをもうならせる作品で非凡な才能を開花させ注目されている。何気なく始めた趣味のランが人の輪を広げ、賞の域を超えた「何か」が斉藤さんをひき付けてやまない。

神谷小近くの完成現場
日本大賞を受賞したマダガスカルの原種「ユーロフィエラ属レンプレリアナ」は高さ2m95cm。もともと根が横に広がる特性があるが「ヘゴの丸太に乗せたらうまく巻き付いてくれた」。仕立てが健全で葉や茎が素直なところが評価のポイントになったが、「12本の花茎を立てて231の花を咲かせるのは並ではない」と関係者。名前の「ヨウコ Y(ヨコセ)・サイトウ」は妻の名前と旧姓

「カトレア アメジストグロッサ ’トシコサイトウ’」。昨年の世界らん展で奨励賞を受賞した作品には亡き母の名を付けた。

「理由?実は特になくてたまたまです。ほかにも受賞作には妻や娘の名前を入れることが多い。別居している息子の名前は最近減ったんですけど…」。

今年1月31日から開催されたとうほくらん展では、パフィオペディラム バーゴ ’ペッコ’がグランプリを獲得して同展2年連続の最優秀賞。また同時期、東京・渋谷で開催された日本洋蘭協同組合(JOGA)主催第62回洋蘭展では都知事賞を獲得するなど、出品すれば必ず何らかの賞を取る現状だが「受賞はうれしいですけど、それより一つ一つのランが持つポテンシャルを存分に引き出して理想の花形に近づける。私がこだわっているのはそこなんです」。

50坪ほどの温室には約500種、5000株が入れ代わり立ち代わり花弁をほころばせる。その時きれいに咲いているものが出品対象。今年の世界らん展の開幕を控えた2月21日、東京ドームに持ち込む作品はすでに決まっていたが、「ちょっと大きなものなので運ぶのが問題…」と困りつつ、12年の歳月を費やし育てた“そのラン”を見上げる表情は優しい。

現在、つくば洋蘭会会長で全日本蘭協会理事長。その肩書き通り、それぞれの運営には深く携わり多忙だ。ランに関する執筆や講演なども行い、最近は自分自身のランに費やす時間が減っている。さらに本業は筑西市で開業する医師。自由に使える時間は仕事を終える午後9時ごろから寝る前までだが、急患の連絡に備え、携帯電話の電源は24時間ONのまま。

神谷小近くの完成現場
第2位となる優秀賞に輝いた「カトレア トリアネ'オカダ'」。数え切れないほどのカトレアの花数は約230。これだけの数をいっぺんに咲かせるには温度管理と日光の当て方がポイント。「やはりプロでも難しいでしょう」と関係者(2作とも受賞前の温室で)

ランを始めたのは91年、当時赴任していた病院の後輩からコチョウランをもらったのがきっかけだった。やがてシンビジュームに興味を持ち、毎晩寝床で栽培本を広げてはノウハウを蓄積。どうしたらうまく花を咲かせられるかを考え、実践する過程は医学の研究と相通じるものがあり気付けば夢中になっていた。そして95年につくば洋蘭会に入ってからは共に切磋琢磨(せっさたくま)する仲間にも恵まれる。名誉会長・会田豊茂さんは言う。「やさしい人柄の方だが、今まであんなに早く成長した人を見たことがない」。会では知識の集積にとどまらず、今まで出会ったことのないさまざまな職種の人たちとの交流がかけがえのない財産となった。

「医者だと友人も医者。それまでは限られた世界だったのがランで人の輪が広がった。遠方の展覧会にも持って行ってやるよって言ってくれる人もいたり、本当に感謝してます」。  花の美しさを引き出すことは、労力を惜しまず限界まで挑戦することでもある。どんなに美しい花にも欠点があり、満点の花を咲かせることは不可能にも思えるが、これでいいとあきらめれば花も自分も成長は止まってしまう。そもそも満点の花が存在し得ないからこそ、「いかにそこに近づけるか」という楽しみが生まれる。「何よりその楽しみを語り合える仲間がいるからこそ、いつまでも飽きずに理想を追い続けることができるんだと思います」。そうして頑張った分、花はしっかり応えてくれる。

3月2日(日)まで開催の世界らん展では、同展初となる日本大賞と優秀賞のワン・ツー・フィニッシュ。「これから多くの方々に見ていただくことが本当の意味での審査。とても気になります」と記者発表で照れながら話していた通り、日本大賞受賞作の前には連日幾重にも人の輪ができ、目の肥えた観覧者が代わる代わる解説者を務めている。その様子をうれしく思いつつ、いつも通り温室ですべきことに思いを巡らす。きれいに咲こうとするランはこれからも続々と控え、展覧会が終わっても思い描く理想に終わりはない。