AJOS 2016年12月例会から

清水 柾孝 (Masataka Shimizu)
 洋ランの開花シーズン本番を迎えてきました。寒い日が続く中、咲き誇り始めるランの美しさは寒さも忘れさせてくれます。今回は、パフィオや少し変わったランなどを紹介させていただきます。
【写真1】 ブラキ系の雰囲気が残るピンク整形花に大輪のグリーン整形花の交配。OZ登録で様々な色合いの花が咲いています。ペタルのピンクが桜色の美しさ、淡く優しい色合いに品がありました。
【写真2】 交配親のSophomoreは(fairrieanum×Chardmoore)という交配種で、Chardmooreが数々の整形花を輩出した古典銘大輪花です。整形花の親として有名な親にfairrieanumdelenatiiが交配されたことで、特徴的な他のパフィオには無い表情をしています。注目度が高く、育種家としても参考になります。
【写真3】 昨年からとても脚光を浴びているShirokane、優秀な白花やピンク花を多数咲かせています。日本を代表するパフィオ育種家の山崎守勝さんの交配です。Shirokaneは花形が特に優れ高い完成度を誇ります。写真の個体も特徴的な色彩で花形の良さが伺えます。今後の作上がりに期待できると思います。
写真1
Paph. Snow Tiger
石橋 洋二郎



写真2
Paph. (Sophomore×delenatii)
石橋 洋二郎

写真3
Paph. Shirokane
松岡 菜穂子


【写真4】 この白花整形花は私から高島氏にお譲りした株で、今回立派に開花した株をお持ちになりました。展開が良く、とても綺麗に白さを表現する個体です。お譲りした株を例会などで見ることが出来るのはとても嬉しく思います。
【写真5】 このバルボも私から伊東氏にお譲りした株です。お渡しした時は小さな株でしたが、良く増え立派な大株となり、何本もの花茎を咲かせています。黄色の穂が美しいボルネオ産のバルボです。葉先や葉裏が汚れやすい種類ですが、とても綺麗に栽培されていました。大切に管理していただき嬉しく思います。
【写真6】 このバルボフィラムは初めて見ました。1花茎に2輪長い花を咲かせる代表としてはfascinationがありますが、ロアードーサルの花形が異なります。putidumの花を長くしたような不思議な花です。バルボの種類の多さはランの中でも上位に入ります。面白い花がほんとに多いと改めて実感しました。
写真4
Paph. Knight's Crown 'Pure's white'
高島 祥浩



写真5
Bulb. odoratum fma. aurea
伊東 忠夫
写真6
Bulb. sp
和田 キミ子
【写真7】 全日本蘭協会の認定審査において、ブラキ系の審査は世界トップラスの審査基準であり特にベラチュラムとリューコキラムはレベルの高い状況です。中でも斉藤会長ご自身の実生から作出された多くの優秀花が入賞されています。今回の個体は、花全体のサイズ、ドーサルやペタルの丸さ、点のバランスなどは世界一級品でした。
【写真8】 この個体は'Adonis'のメリクロン変異個体で、全蘭の会員であった川上忠さんが世に広めた濃色大輪のワルケリアナです。今でも貴重な個体ですが、この花のインパクトはワルケリアナの印象を変えてしまうほどの存在感だと思います。今回は花サイズがやや小さかったですが、立派な株に4輪開花で美しい状態でした。
【写真9】 旧ソフロニティス属で、小型の株姿から鮮明な赤色の花を咲かせる魅力的なコクシネアは、実生を繰り返し改良され、今では4倍体のような大きなが主流となっています。写真の個体は、'Caraguatatuba'の実生で、自然種由来の可愛らしいサイズながら、実生からはオレンジ色なども特色ある色彩が咲きだしています。
写真7
Paph. bellatulum 'Titan'
斉藤 正博



写真8
C. walkeriana 'Adonis Kawakami'
清水 柾孝

写真9
C. coccinea
武井 直義

【写真10】 最近見る機会の少なくなった、アフリカ中部原産の1属1種のランです。バルブの先端に集合花を多数着けます。丈夫な種類ですが、意外と株を綺麗に作ることが難しい。出品花は背の高く、立派な集合花を多数咲かせている状況で、とても目立っていました。冬の最低温度は高めの環境で育てているとのこと。
【写真11】 大型のバンダの原種で、ペタルとドーサルにピンクの斑点が入らない個体と入る個体と2タイプあります。種名は、「ルソン島のバンダ」という意味をもちます。発色が良く、目立つ個体でした。
【写真12】 東南アジアや沖縄、石垣島などに自生するバンダで和名で「コウトウヒスイラン」とも呼ばれています。個体差があり、色彩も淡いピンクや褐色などあります。出品花の色彩は基本色ですが、花形が良く、なんといっても乱れの少ない整った株姿からバランスよく3花茎開花している状態のトータルバランスがとても良かったです。
写真10
Neobenthamia gracilis 'Ducks'
野口 悦男


写真11
V. luzonica 'Ducks'
野口 悦男


写真12
V. lamellata
伊東 忠夫


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