NO.10  ブラジルのフラグミペディウム

ロバート・タカセ  (ブラジル)

R. Dr. Diogo de Faria BA 1226 ap 13, Paulo SP Brazil
e-mail : <takaserob@terra.com.br>

私はブラジルに住む日系3世です。私のお爺さんにあたるタカセ・シゲイチは第2回移民として日本からブラジルに渡り、観賞用の金魚の改良に力を入れていました。'Hyphessobricom takasei ' とか 'Moencausia takasei ' などという金魚の名前は私の家族の名前にちなんで付けられました。一方、私の父は有名な観賞魚の輸出業を行っておりました。でも、今では68才になり悠々と自適の生活を送っております。 私は2年ほど前からラン、特にPaphiopediluns, Phragmipedia やSelenipediuns などのいわゆるスリッパーオーキッドに心を奪われてしまったようです。後者の2属はブラジルにもあります。ニュースでもご存知の方も多いと思いますが、ここブラジルでは多くの自然のジャングルが焼畑農業により焼かれて牧畜となり、ハンバーガー用の肉の生産を行うようになっています。私は、どこにフラグミが生育しているかを知っていますので、その地域が焼かれることが解るとそれらのフラグミを採集して他の場所に移したり、趣味で栽培している人に差し上げたりしています。 私は、フラブミペディウムがCITESの付属書第一類に上げられていることを知っています。でも、それらが焼かれる前に助けなくては、それらがさらに生育したり、交配に用いたりなど・・・・何もできなくなります。私はアマチュアのランの栽培家でそれで商売をしているわけではありません。 それで、株ばかりでなく、自分で交配した苗などをブラジルの周りの友人に無料で差し上げております。採集したランが決して消えていっているわけではありません。これこそ、私のブラジルにあるフラグミに対する私の考え方であり、モラルなのです。理解していただけますか。

Phrag. ecuadorense or Phrag. pearcei var. ecuadorense depending the Author of clasification.

この株はまるで雑草のような葉をしています。そして、花もとても小さいです。

Phrag. longifolium

これはエクアドルからきた個体を用いた交配です。少しばかり普通のものより濃色であることくらいで、特に変わったところはないようですね。

Phrag. sargentianum

この個体はサーゲンティアーナムの変種で、花は大きくその色彩も濃いことが解りますか。 Alagoas で見つけたものです。

Phrag. lindleyanum

この個体はバヒア(Bahia)で見つけたもので、実はここには分布していないはずの所なのです。ブラジルの地図を見るとフランシスコ川という大きな川があります。この川がPernambuco と Bahia 地区の自然の区切りになっています。 そして、この品種はギアナ(Guianas)の地域からのみの報告があり、反対側のバヒアを含むアマゾンの雨林地帯からは見つかっていないのです。 でも、バヒアはちょうどその中間地域にあたるのですが、近いうちに友人に頼んでその市ぜんんでの写真を撮って貰いますので、 送らせていただきます。
(それは楽しみです!!!)

Phrag. vittatum

ビッタータムはブラジルの中部に分布する普通品種です。 これには2つの変種があります。1つはシンセパルム(synsepalum)といい、ポーチがもう一つの変種ラベルム(labelum)よりかなり大きいことが異なります。

Phrag. vittatum

この写真はつい最近撮影したもので、1本のスパイクから6つの花を咲かせたものの1つです。なかなか良い花でしょう。 ビッタータムはふつう多くても5輪しか咲かせません。I

Phrag. vittatumの膨らんだ子房

この膨らんだ子房はビッタータムのセルククロスで得られたものです。この子房の種子から多くの苗が取れて、良い花がたくさん咲くと良いのですが・・・。期待しています。

Phrag. caudatum

この株はエクアドルから来ました。色彩は黄色味が強い変異種と思われます。これは朝日を直接受け、昼間から午後は約60%の遮光をした場所で栽培しています。Paulo A.O.S.P. にある日本-ブラジル会館で九月の中旬に地域の蘭展があり、カテゴリーで一位を獲得しました。

Phrag. meu

これは私の自慢のフラグミです。 友人から頂いたものなのですが、ブラジル国内で採集されたものだそうです。これは、どうやらパーセイとロンギフォリウム(Phrag. pearcei X Phrag. longifolium)の自然交雑種らしいのです。最初のオリジナル株は1974年にロンドニア地区で日本人によって採集されたそうです。残念ながらその方は既になくなり、その正確な場所については何も解りません。

NO.11 へつづく

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