なぜ? 同じ株の花が、こんなに違う・・・

Paph. charlesworthii

2005年1月30日に開催された、日本パフィオペディルム研究会(JPA)のサロンで、会員の菊地徹氏が以下のような問題を提起されました。彼は、'Momoyo'というすばらしい花を咲かせるPaph. charlesworhii の選別個体を愛培されているのですが、不思議なことに花が咲く度にその容姿が大きく異なるとのことです。不思議に思いながらこの花が咲く度に写真に記録したところ、以下にご紹介する通りなのだそうです。菊地さんは、「いったいどういう訳でこのような状況になるのだろうか・・・」と言う疑問を投げかけられたのです。私には、驚くほどすばらしい花・・・と、ただ感激するだけなのですが。


これはビックリ! これらは全て、同じ花・・・・

2004年の11月に咲いた花。今回は2輪咲きとなったが、ドーサルセパルが対称ではなく、また、ベントラルセパルにカラーブレークと奇形が認められる。 2004年12月に咲いた花。ドーサルセパルはみごとに対称。しかし、色彩が薄く、ベントラルセパルは奇形。

2004年12月に咲いた花。ドーサルセパルは対称。ドーサルセパルの色彩が薄いが、ベントラルセパルは左右ほぼ対称。 上の写真と同じ、2004年12月に咲いた花。花そのものの印象が異なる。色彩は薄く、ベントラルセパルはほぼ対称。

2003年11月。濃色で、ベントラルセパルはほぼ対称だけど、カラーブレークが目立ちますね。

2001年11月18日、第10回JPAサロン。上下のセパルに違いが認められる。

2002年10月に咲いた花。花の色の濃さ、セパルもペタルの文句のつけようがない・・・。最近の中年おばさまに例えると・・・「ヨン様!」なんて事になるのでしょうか? これなら、私だって大きな声で叫びたい・・・「ヨン様!」、「チャールス様」。喉はゴロゴロ鳴るし、ヨダレはダラダラ。この写真を見ていたら、自制心を失いそうです。 この花が、時によって上のような花に化けるのですよ・・・不思議ですね。

 さて、なぜこのような花が咲くことになったのか? サロンでは参加した会員の皆さんが頭をひねりました。いろいろとと議論した結果、以下のような結論に達したわけですが、真実は不明です。すなわち、毎回同じ奇形の状態が現れるわけではないので、遺伝的な性質に依存しているわけではないだろう。おそらく生理的な原因によるのだろう。では、どのような生理的要因の違いでこのような状態になるのか? 分け株が同時に同じ花を咲かせないことから、植え込み状態(根の張り具合も含めて)の違いから生じていることが考えられよう。特に、鉢が乾燥状態に陥ったとき、肥料があれば濃縮された状態になり、塩障害に類似するダメージを株に与える可能性がある。このような比較的軽い塩障害が、生理的な障害として花に現れているのではないだろうか。
 JPA会員の皆様のみならず、どなたでも、何か情報や思い当たることがあれば連絡下さい。お待ちいたしております。

特集の目次へ戻る