2000年6月のカトレア

6月になりました。いよいよ梅雨に突入します。あなたはうっとうしい季節が来たと思われるでしょうか?6月に入ると無加温栽培で成長が遅れているカトレア達は、この期を逃すものかとばかりに一生懸命新芽と新根を伸ばします。私達にとってはうっとうしい梅雨も、無加温栽培のカトレア達にとっては恵みの雨。パフィオペディラムやファレノプシスなど葉っぱが柔らかく○○腐病に罹りやすい洋蘭は雨よけが必要ですが、カトレアはコンポストさえ痛んでいなければ雨ざらしでも大丈夫です。普段乾かし気味の管理で成長が遅れている株などは、6月の適温と梅雨の多湿に成長を後押ししてもらいましょう。一つだけ注意です。絶対に雨水の跳ね返りが当たるところへ直接鉢を置くことはしないで下さいね。コンポストは痛むし、跳ね上がった泥には病原菌がうようよ。伸び出した新芽新根はナメクジやダンゴムシの大好物です。泥はねや虫たちの手の届かないなるべく高いところへ吊るすことが一番です。

自宅玄関前のフェンスにくくりつけたカトレア

6月に入ると気温もぐんぐん上がります。晴天の日外に吊るした鉢はミズゴケ植えでも1日で表面は乾くはずです。特に3号以下の小さな鉢は、朝に水を上げても夕方にはカラカラに乾ききってはいませんか?カトレアの多くは6月から7月にかけてが1年で最も活発に成長する季節です。低温期には乾かし気味で管理したカトレアも、成長期の水切れは苦手です。あまり乾かし過ぎると、新芽が素直に伸びませんし、せっかく伸び始めた新根の先の成長も止まってしまいます。晴れた日には1日1回の潅水は忘れずに行いましょう。また、3号以下のミニ種は夜間の湿度不足を嫌うものが多いので、夕方カラカラに乾いていたら夕方にも潅水するのが良いと思います。また、新根がぐいぐい伸びている今から、夏の高温で株が弱り始める7月中旬頃までが私達素人が安心して肥料を与えられる唯一の季節です。2000倍程度に十分薄めた液肥を1週間に1度程度与えて、新芽の成長を促してあげましょう。私は、ハイポネックスのノーマルタイプ(5:10:5)を使っています。洋ラン用の(6:6:6)も売ってますが、安いほうで十分でしょう。
L.プミラの成長の様子

プミラは強健な原種です。春はどのカトレアよりも早く休眠から目覚めて成長を始めました。無加温栽培では今春伸び始めた新芽はまだ葉の形が現われていないのに、プミラの新芽はいち早く展開直前まで伸びています。主に秋咲きですので、新芽からもう1バルブ伸ばしてその先端に花を着けてくれるのかもしれません。プミラは一般的に多湿を好むといわれていますが、根をコンポストの中にもぐり込ませるのはあまり好まないようです。浅底の素焼き鉢がプミラの栽培に適しているとの記事をどこかで読んだ記憶がありますので、入手は困難かも知れませんが試してみては如何でしょうか。写真の株も新根はほとんど上に向けて伸ばしていますよね。浅鉢が手に入らないので、この鉢の中は半分くらい発泡スチロールで底上げしてあるんです。
Blc.メモリアン クリスピン ロザレスの新芽

無加温栽培では5月中旬にようやくポチッと新芽が顔を出します。それから1ヶ月ほどかけてじっくりと新芽を充実させ6月中旬頃に写真左くらいの芽に成長します。温室栽培に比べて大体2ヶ月遅れといったところでしょうか。これから7月にかけてこの芽がグイグイと成長してくるはずです。さて、どのカトレアの新芽も先っちょに蜜を付けているのをご存知ですよね。これはいったいカトレアにとってどんな意味があるのでしょうか。今まで読んだ書物には、その意味に触れた記載がなかったので、私も真相は知らないのですが、なんでだろうといつも考えています。自然の摂理はとても合理的ですから、意味も無くカトレアが蜜を分泌するはずはありません。蜜の分泌も自然の中で生き残るために工夫された仕組みなのではないでしょうか。一番大事な新芽を守る重要な秘密があるはずです。でも、その蜜舐めてみたこと有りますか?結構、甘いんですよ。蜜を舐めながら、ハチミツの中でバクテリアが繁殖出来ないように、蜜をまとってバクテリアの繁殖を抑えているのかな〜。とか、熱帯の自生地では、新芽を食い荒らす外敵から自分を守ってくれる共生相手に代償として蜜を提供しているのかな〜。とか考えてます。日本では蜜を舐めにアリもやってきます。アリとアブラムシが共生関係にあるのは有名な話ですよね。カトレアとアリの共生関係は成り立たないでしょうか。新芽を食べに来る毛虫からアリがカトレアを守ってくれるとか。ホントの理由もし知ってらっしゃる方、是非是非連絡下さい。この秘密、とっても知りたいんです。
理想的な栽培環境

どうもすみません。職場の植樹を一部お借りしています。地上約1.5m風通し抜群、木漏れ日チラチラ天然遮光。真夏には自然と遮光が強くなるまったく理想的な栽培環境です。植樹をお借りしている代りに開花株はホールのカウンターに提供いたします。これは私と会社の共生関係だと一方的にですが思っておりますので、会社の上役の皆さん、どうかご理解の程よろしくお願いいたします。

ほんと、ここで一夏を過ごした株は見事に充実します。こんな木をお持ちでしたら、せっかくの木の景観は台無しになりますが、カトレアのためには目をつむって提供してやってください。きっと素晴らしい花を咲かせてお礼をしてくれるはずです。

それでは皆さん、これから先のカトレアの成長をお互いに暖かく見守っていきましょう。

先日(6月9日)の大風では被害を受けた方もいらっしゃることだと思います。私の所のカトレアはワイルドで、普段から雨に風に寒さにそしてヒョウにもさらされて生き抜いております。
そんな訳で、私の鉢は一部を除いて被害無しでしたが、温室育ちの新入り達が少々やられました。温室もなく、雨風をよける理想的生育環境を作ってあげられない一般家庭での
大雨風対処法は。
1に こまめな鉢の移動。
2に 風雨に強い株を作ること。
コンテスト用の作品は別として、家庭で普通に楽しむカトレアは少々の葉焼けには目をつむって普段からしっかりと日光と風に当てて育てましょう。しっかりと硬く締まったバルブは
少々の強風程度ではもびくともしないはずです。自生地のカトレアは雨に風に曝されてもなお木にへばりついて茂っているのですから。