2000年10月のカトレア

10月も中旬を過ぎると、ここ千葉県北部でも肌寒い日が続くようになりました。地方によっては既に木枯らしが吹く寒さのところもあるのではないでしょうか。あなたのカトレアはもう暖かい部屋の中へ取り込みましたか?私のところでは、例年11月の上旬から中旬までは引き続き屋外での管理を継続しています。ものによっては、霜が降りる直前まで11月下旬から12月に入っても外に吊るしっぱなしというのもあるんです(10/15)。


縁側に並べた鉢

 
10月に入ると朝晩はすっかり気温が低くなります。ここ千葉県北部でも明け方の最低気温が15℃程度まで下がる日もあります。地方によってはもう既に部屋の中へ鉢を取り込まなければならない季節となりました。私のカトレアには、もう1ヶ月ほど外で過ごさせるつもりです。葉焼けをおこす心配がなくなる中旬頃から、縁側へ並べて直射日光に慣らします。無加温で冬を乗り切らせるなら、気温の低下を考えて早めに部屋へ取り込むよりも、なるべく長く外に置いて株の充実を図る方が得策だと思います。どうせ真冬には10℃を切る低温に曝されることを考えれば、秋の気温低下は小手調べ。今はまだ、寒い冬を無加温で乗りきる体力と冬咲き種を開花させるための養分をしっかり蓄えさせる充実の季節です。
開花したBc.マーセラコス’ピンクマーベル’

先月、つぼみの膨らみを報告したマーセラコスが10月上旬に開花しました。パステルピンクの優しい色調が秋の柔らかい日差しに似合います。あまりきつ過ぎないを良い香りを午前中ほのかに漂わせます。まだ気温が高い10月の開花で、花寿命の短さを心配しましたが、2週間経った今でもみずみずしさを保っています。今春まで温室で育ったこの株が、これから迎える無加温の冬を立派に乗り切ってくれるかどうか。来年もまたこの素晴らしいパステルピンクの花を咲かせてくれた時、この交配種の特徴についてもう少し詳しくご紹介したいと思います。
ヘゴに活着したSl.オルペッティ

 今春、ヘゴに着けてみたSl.オルペッティです。写真では良く分りませんが、太い根が何本かしっかりとヘゴへ食い込んでいます。右下の2つのバックバルブは6月にヒョウに打たれて葉を落としたバルブです。完成している唯一のバルブがその時の新芽。ヒョウがかすめた傷跡が少し残っています。その株元からは今シーズン2つ目の新芽が伸びだしており、オルペッティの生命力の強さをあらためて感じました。ソフロ系ミニカトレアの中には、オルペッティのようにこれから年末へかけて成長を続ける株がたくさんあります。そんな株には新芽の成長の具合を見なら3000倍以上に薄めた液肥を継続して与えておいても良いかもしれません。
コルク着けの Soph.ウッティジアナ

 蘭展で、たくさんの花を着けた大株のウッティジアナに出会い驚嘆しました。植え込み材料はコルクでした。手持ちの資料を見なおし、先輩方の栽培法を参考に、さっそく私もミズゴケ植えにしていた小株をコルクに着けてみました。元気な根がコルクに活着し、8月下旬頃から新芽が2つも伸び始めています。どうやら順調に生育してくれているようです。春先から10月現在まで、朝夕2回ジョーロで水を十分にかけて管理しました。今、新芽の成長が真っ盛りですので3000倍程度に薄めた液肥を1週間に1回与え続けています。この新芽につぼみを着けてくれるかどうか、実はちょっと自信がありません。
スタンダード小苗の生育状況

 鉢の置き場所に困るので、大きくなる普通種は極力控えているつもりなのですが、ミニカトレアのような小苗を見るとついつい家に連れて帰ってしまいます。左の3鉢は、いずれも開花サイズまであと2年以上は作り込まねばならない普通種の小苗です。一番左のメロディーフェアは今年通信販売で手に入れた’キャロル’です。あちらこちらの蘭展で入賞を繰り返すこの花は、セミアルバの最高峰の一つであるとも解説されます。真中は、とてもデッカク成長すると脅かされているメモリアヘレンブラウン。グリーン系の銘花です。右のチアリンは言わずと知れた深紅の大賞花。どの株も新バルブの大きさが、昨年よりそれなりに大きくなっていますので夏の管理はボチボチだったのかな〜、と振り返っています。これから迎える無加温の寒い冬。我慢してもらいますぞ。よろしく頼みますよ〜。
遮光の違い

 今春株分けした2鉢のメモリアクリスピンロザレスです。遮光の違う環境で育てました。直射日光で育てた株は新芽は短く、ややずんぐり気味で葉の色はやや赤め。カーポート下で育てた株の新芽は素直に大きく展開し、葉の色も青々しています。バルブの太り方はどちらもほぼ同じくらいです。どちらの株も花を着けてくれると思いますが、無遮光で育てるより、何らかの遮光をかけてあげた方が伸び伸びとした生育が望めるような気がしました。直射光で育てた株の葉が赤くなるのは、たぶん自己防衛反応なのでしょうね。私たちの肌が日に焼けて小麦色となる様に。今はもうどちらの株も出来るだけ直射光で充実させるようにしています。4.5号以上のミズゴケ植えは、10月ともなると鉢の渇きが明らかに遅くなります。今は約3日に1回の潅水サイクルで、肥料は勿論切っています。